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  <title type="text">コードギアス</title>
  <subtitle type="html">ギアス用</subtitle>
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  <updated>2008-04-26T22:09:50+09:00</updated>
  <author><name>No Name Ninja</name></author>
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    <published>2009-10-26T16:12:00+09:00</published> 
    <updated>2009-10-26T16:12:00+09:00</updated> 
    <category term="ロロルルロロ" label="ロロルルロロ" />
    <title>October,25（後編）</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<br />
<br />
<br />
<div style="text-align:center"><span style="font-size:220%">＜October,25＞</span>（後編）</div><br />
<br />
<br />
<br />
　ルルーシュに頼まれた買い物を済ませた、帰り。<br />
　ロロは帰りたくないなぁと思いながら、公園のベンチに座って秋の夕暮れを見上げていた。<br />
　ルルーシュが自分を遠ざけたいのだということがわかったのは、一昨日のアーニャとの“デート”の時、アーニャが花の写真を撮っている横で、ふと携帯電話のニュースを見た時だ。画面に映っていたのは、世界で一番有名な少女の記事。<br />
　――ルルーシュの最愛の妹、ナナリーの。<br />
　これまでのルルーシュの行動。ナナリー。そして、その時の日付。<br />
　一昨日、自分がその記事を見た時は、10月23日だった。<br />
<br />
　つまり、<br />
<br />
　今日は、<br />
<br />
　10月、25日。<br />
<br />
（……ナナリーの、誕生日……）<br />
<br />
　暮れて行く日と共に下がっていく周囲の気温に身を震わせながら、ロロは睫毛を伏せる。<br />
<br />
（そうだよね。ナナリーの誕生日、お祝いしたいよね。だって、去年は……）<br />
<br />
　ロロは携帯電話を取り出して、ハート型のストラップを見た。<br />
<br />
（去年兄さんは、ナナリーの誕生日のお祝い、出来なかったんだから……）<br />
<br />
　ブラックリべリオンのあと、兄妹として時間を過ごすことはないまま、ルルーシュとナナリーの二人は、ゼロレクイエムを迎えた。<br />
　ルルーシュがロロの前で、ナナリーに会いたいという感情を表に出すことはない。<br />
　けれど、本当は会いたくてたまらない筈だ。<br />
　彼女の為に、世界を変えようとした。それ程に愛した相手なら。多くの問題と立ち向かう彼女に、助けの手を差し伸べたいと思った時もあったはず。<br />
　たとえ、ナナリーを目の前にして誕生日祝うことが出来なかったとしても、ルルーシュは祝いたいだろう。<br />
<br />
　ロロは、ルルーシュに電話をかけた。<br />
　すると、呼び出し音が一回鳴り切る前に、<br />
<br />
『ロロ、どうした？　遅いじゃないか』<br />
<br />
　ルルーシュがすぐに電話に出た。<br />
　ロロは、声をだそうとしたが、喉の奥が震え、なかなか言葉がでてこない。<br />
<br />
『……ロロ？』<br />
<br />
　心配そうなルルーシュの声が胸の奥まで染み入るようで、ああ、やっぱり自分はルルーシュのことが本当に好きなんだな、と自覚する。<br />
　けれど、今日、その愛しい兄は、自分の存在を必要としているのだろうか？<br />
　いない方がいいと、本当に全く思っていないというのだろうか？<br />
　傍にいるのが、自分でなくて、ナナリーだったなら、と一瞬でも思わなかっただろうか？<br />
<br />
「兄さん、僕、帰ってもいいのかな……？」<br />
<br />
　うまく声にならなかったその言葉は、<br />
<br />
『ん？……ロロ、悪い、電話が遠いんだが？』<br />
<br />
　ルルーシュには、届いていなかった。<br />
　ロロはもう一度、大きな声で同じ言葉を言おうとして……やめた。<br />
<br />
「ごめん！　なんでもないよ。すぐに戻るから！　遅くなってごめんね」<br />
　<br />
　ロロはすぐに気がついたのだ。<br />
　帰ってくるなと言われたところで、それでも、自分は結局、ルルーシュの元へと帰るのだろうと。<br />
　それならば、少しでも良い状態で帰りたい。<br />
　不要な言葉を兄に伝えて何かを失うのではなく。<br />
<br />
　　　　＊<br />
<br />
　すっかり暗くなってしまった。ロロはジェレミアとアーニャの力作であるオレンジ畑を突っ切っていく。昼にはエネルギーに満ち溢れたように見えた木々が、夜のこの時間になると、その後ろに獰猛な生き物を隠しているようにも見える。<br />
　耳にかけておいた携帯電話からは、何の警告音もしない。しかし、警戒を怠らずに、ロロは周囲の気配を探りながら、無駄のない動きで走る。<br />
　携帯電話は光りの出ない設定にしてあるし、懐中電灯の類は一切持っていない。このあたりは、何か作業でもしない限りは外灯もつけないから、月のない今宵は、まさに目を閉じても開けても同じとしか言いようがない闇がロロの周りに広がっていた。<br />
　けれど、隠し通路までのルートは、ロロの身体が覚えている。何も見えなくても、ロロの走るスピードが落ちることはなかった。<br />
<br />
　やがて隠し通路に入ると、若干の明かりがついたが、それでも薄暗かった。<br />
　ルルーシュが住んでいる区画は、地上の遙か下にある。<br />
　ロロは隠し通路を通った先で、エレベーターに乗ると、ようやく緊張から解放されて、大きく息を吐いた。<br />
<br />
「どうしようかなぁ……」<br />
<br />
　ロロは買い物袋を抱えながら、壁によりかかる。どんな顔をして兄に会えばいいのだろう。<br />
　いつも通り、笑えるだろうか？　ただいま！　と言って。<br />
　はー、どうしよう、と何度も何度も、エレベーターの中で溜息をつくと、目的のフロアについた音がした。ロロは壁によりかかるのをやめて、ルルーシュがいる区画につくまで、なんとか気分を高めておこうと気合を入れる。<br />
　ゆっくりとエレベーターのドアが開くと、<br />
<br />
「ロロ！　遅かったじゃないか！」<br />
「！？」<br />
<br />
　目の前にルルーシュが立っていて、ロロは頭が真っ白になった。エレベーターのドア一枚挟んでいるとはいえ、これぐらいの距離に人がいれば、自分にはわかるはずだ。<br />
　勘が鈍った？　<br />
　そんなバカな。<br />
　いや、それより……。<br />
<br />
「兄さん駄目だよ！　一人でこんな所まで出てきたら！」<br />
<br />
　警備上の理由から、ルルーシュが一人で行動する範囲は決められている。今いる区画は、外よりは安全だが、それでも万全とはいえない。ルルーシュがいなければいけない場所は、ここから何重もの警備網が張り巡らされた先にある。<br />
　ロロは反射的に、ルルーシュをかばう様にしてその肩を掴んで引き寄せてから、周囲の気配を探った。<br />
　自分の感覚を全て使うが、自分とルルーシュ以外の気配は感じられない。<br />
　少し安堵してから、ロロはルルーシュを放した。<br />
<br />
「ごめん、急に」<br />
「いや」<br />
「……でも、どうしてここまで出てきたの！？　危ないのわかってるよね！？」<br />
<br />
　自分達は“ゼロ・レクイエム”という偶像で、世界を騙した。<br />
　だが、“騙されていない”者達の数が、自分達の想像を超えていたらどうなるか？<br />
　V.V.からシャルルへ、そしてシャルルからルルーシュへとコードが引き継がれたこと。<br />
　そして、コードの引継ぎ完了の条件が、コードを引き継いだ状態で、人としての生を、一度終えることだということ。（だから、シャルルは銃弾を見に受け、C.C.は教会で血を流した）それを知る者が、いないとは言い切れない。<br />
　ルルーシュは“悪逆皇帝”として悪名が世に轟いている。そのルルーシュが生きていること。そしてその原因。知られるわけにはいかない。<br />
　ロロにしてみれば、コードを知られることで世界が云々……というよりは、ルルーシュの身の安全の方が大事だった。<br />
　幾らコードを引き継いだルルーシュが死ぬことはないとはいえ、捕らえられて拷問、果てはコードの為の実験に利用されるということも考えられる。ルルーシュをそんな目に遭わせるわけには、いかない。<br />
<br />
「お前の帰りが遅いから、心配してたんだ」<br />
<br />
　ルルーシュが悪びれずにそう言うので、ロロはぷいと、ルルーシュに背を向けて、歩き出す。<br />
　おい、と後ろからルルーシュがついてくるのを感じながらもロロは歩き続ける。<br />
　これでもちゃんと、周囲の気配には注意を張り巡らせている。本当は、ルルーシュが視界に入った方がいいのだが、今はルルーシュを見ることができなかった。すぐにでも苛々をぶつけてしまいそうだったから。<br />
<br />
「そんなに怒らなくてもいいだろう？」<br />
<br />
　ルルーシュがロロの横に並んで、顔を覗きこむようにして言う。<br />
　ロロはルルーシュの目を見ないようにして、その問いに答えなかった。<br />
　そう。<br />
　確かに自分が今こうも不機嫌になっているのは、ルルーシュがこの区画まで出てきたからということだけが原因ではない。どんな顔をすればいいのかとか、ナナリーのことなどを悶々と考えていた時に、心の準備も無いまま、不意打ちで兄と会ってしまったからだ。<br />
<br />
　いくつもの警備システムをルルーシュと共に抜けながら、ロロは悶々と考える。今日一日、ルルーシュはどんな風に過ごしたのだろうか、とか、昨日・一昨日、ロロがいなかった時はどうだったのかとか。<br />
　本当は長い通路でこうして一人で悶々として、なんとか自分の気持ちに折り合いをつけてから、居住区でルルーシュと顔を合わせるはずだったのだ。<br />
　それなのに今の自分の横では兄が歩いていて、自分が返事をしないので気まずい空気が流れている。<br />
<br />
　こんな筈じゃなかったのに。<br />
<br />
　どんな風に言葉を交わそうか、ちゃんと考えておこうと思っていたのに、こんな状況ではどう声をかけていいかわからない。<br />
<br />
　無言で静かな通路を二人で歩き続けていると、足音が一人分、急に聞こえなくなった。<br />
<br />
「……兄さん？」<br />
<br />
　立ち止まったルルーシュの方をロロが振り返ると、<br />
<br />
「ようやく、俺を見てくれたな」<br />
「……っ」<br />
<br />
　してやったり、という風にルルーシュが口元に笑みを浮かべていた。<br />
　やられた、と思ったけれど、本当はルルーシュとそろそろ話がしたかったので、ロロはもうルルーシュに背を向けなかった。<br />
<br />
「なぁ、ロロ。俺がずっと今まで何を考えていたか、わかるか？」<br />
「……わからないよ」<br />
<br />
　ロロが答えると、ルルーシュは笑みを深くした。<br />
<br />
「嬉しい、って思ってたんだ」<br />
「……え？」<br />
<br />
『嬉しい、って思ってたんだ』<br />
　ロロは、ルルーシュの口にした言葉を、頭の中で反芻する。しかし、その言葉が何を意味するのか、理解できなかった。<br />
<br />
「……怒るなよ？」<br />
「別に怒らないけど。……でも、兄さんが何を言いたいのかわからない。なんで、嬉しいなんて思ってたの？」<br />
「ゲストハウスに住んでた頃は、お前はいつも俺に合わせてた。……生徒会にいる時だって、引っ込み思案の演技をしてただろう？　俺が記憶を取り戻した後だって、今思えば不自然だった。俺も演技してたし、お前だって、そうだった」<br />
<br />
　図星だった。<br />
　ルルーシュが記憶を取り戻す前は、任務の為に演技をしていたことが多かったし、ルルーシュが記憶を取り戻した後も、自分を曝け出していたわけではない。<br />
<br />
「……だから、こんな風にお前と話せて、嬉しいんだよ」<br />
「どうしたの、急に……」<br />
<br />
　ふっ……と、ルルーシュは笑って、<br />
<br />
「早く帰ろう。……ここでいつまでも立ち話していないで、あとでゆっくり話そう」<br />
「え……ちょっと待ってよ、兄さん！」<br />
<br />
　先程ロロがやったように、ロロに背を向けて、すたすたと歩きだしてしまう。待ってよ、と言いながら、ロロもその後を追う。<br />
　さっきの話の続きをしてよ、と何度も言うのだが、ルルーシュがはぐらかすので、そのうちロロは話の続きを聞くのを諦めてしまった。こうなってしまうと、ルルーシュが話そうと思わない限り、絶対に聞き出すことなど出来ない。<br />
<br />
「兄さん、それ、何？」<br />
　<br />
　ロロはずっと気になっていたことを訊いた。<br />
　エレベーターから降りた時、ルルーシュが手にA4サイズの真新しい黒の封筒を手にしていたのが見えていたのだが、成り行き上、今まで聞けなかったのだ。その封筒に、普通の文房具店では売っていないような紙が使われているということは、あまり封筒などに詳しくないロロにもわかった。<br />
<br />
「……さぁ、なんだろうな？」<br />
<br />
　ルルーシュは、封筒をロロに見せるようにひらひらとさせてから、意地悪な顔をする。<br />
　ああ、駄目だ。これは教えてくれないつもりだ。と、ロロは再び諦める。<br />
<br />
「ジェレミアとアーニャには、ちゃんと言ってあるからな」<br />
「……え？」<br />
<br />
　ルルーシュが唐突に言ったので、ロロは顔を上げる。<br />
<br />
「このまま放っておくと、『馬鹿な兄が危険な所まで、何の策も講じずに出てきた』って思われるからな。そんな所で評価を下げたくない。このルートは全部監視してあるし、俺が一人でいる時間は出来る限り短くはしたさ。ここまで来る時はジェレミアもいた。お前が着く少し前に、帰らせたが」<br />
「そこまでして迎えにこなくててもいいのに」<br />
「……お前を迎えるのは俺の役目だろ？」<br />
<br />
　多くの人間をくらりとさせるような完璧な流し目でルルーシュが言うので、<br />
<br />
「格好つけすぎ」<br />
<br />
　ロロがはっきりと言った。<br />
<br />
「おっと。前のお前なら、『格好いい……』ってぽーっとしてたのにな」<br />
「今の僕の方がいいんじゃなかったの？　前の僕がいいなら、いつでもお戻りしますけど？」<br />
「……リザインだ。お前に嫌われたくないからな」<br />
「……いつかチェスでもリザインって言わせたいな」<br />
<br />
　そんな他愛のない話をしながら居住区へと入り、二人はリビングの扉の前へと辿り着く。<br />
　ロロがドアを開けようと手を伸ばした時、<br />
<br />
「待ってくれ」<br />
<br />
　ルルーシュが、ロロの手を止めた。<br />
<br />
「兄さん？」<br />
<br />
　ロロが訝しげに振り返ると、<br />
<br />
「これを、先に渡しておきたいんだ」<br />
<br />
　ルルーシュは、手にしていた黒の封筒をロロに差し出した。<br />
　僕宛だったのか、と驚きながら、ロロは封筒を受け取る。今まで触れたこともないような感触の封筒に、一体どこからこんな封筒を手に入れたのかとロロは思った。<br />
<br />
「……開けて、いい？」<br />
<br />
　頷くルルーシュを見てから、ロロが封筒を開けると、中に入っていたのは、立派な皮の表紙があしらわれた本だった。<br />
<br />
（本？　本にしては薄いような……？）<br />
<br />
　ロロは手にした“本”を開く。<br />
　それは、ロロが想像していたような“本”ではなかった。<br />
　ロロが開いた紙面の上で、五線譜を背景に流麗な音符が舞っていた。おそらく、全て直筆なのだろう。<br />
　……そう、その“本”は、楽譜だった。<br />
　ロロは楽譜を開く時に飛ばしてしまった一ページ目に戻り、そこに書かれていた曲のタイトルを見て、<br />
<br />
「兄さん、これ…っ…！」<br />
<br />
　思わず、目を見開いたまま、大きな声を上げた。<br />
　ルルーシュは、ロロが最後まで言う前に、ロロの手を引いてリビングの扉を開いた。<br />
<br />
「！？」<br />
<br />
　ロロがリビングの様変わりぶりに驚いた瞬間、<br />
<br />
「……おめでとうございますっ！！」<br />
「……おめでとう……」<br />
<br />
　ぱぁん、と二つのクラッカーがロロに向かって、放たれた。<br />
　ひらひらと舞ってくる紙片を頭に浴びながら、ロロはソファの陰から躍り出てきたジェレミアとアーニャを思わず凝視してしまう。何故、自分が祝われているのか、わからなかった。<br />
　だって、今日は、ナナリーの……と思っていると、<br />
<br />
「……おいおい、驚きすぎだぞロロ。俺達が何もしないって思ってたのか？」<br />
<br />
　ルルーシュに肩を叩かれて、ロロはルルーシュを見上げる。<br />
　自分がどんな表情をしていたかはわからないけれど、余程戸惑うような顔をしていたのだろう。<br />
<br />
「……そんなに戸惑われるとは思わなかった」<br />
<br />
　“だって、ナナリーの誕生日を祝いたかったんじゃないの？”　と喉元まで出かけたけれど、今、それを口にしてはいけないのだろう、とロロはその言葉を飲み込んだ。<br />
　本来、ロロには誕生日が無い。自分の生まれた日がいつなのか、分かる術はこの世に存在していないのだ。生まれて初めて祝ってもらったのは、ナナリーの誕生日をそのままスライドさせた10月25日のことだった。<br />
　あの時は、自分がナナリーと入れ替わっていたから、祝ってもらえた。<br />
　それはとても嬉しかったし、あの時は「誕生日をもらえた」と喜んでいた。<br />
　けれど、今、自分は誰の代替物でもなく、そして今でも本当の誕生日はわからない。また10月25日に祝ってもらえるとは思っていなかった。<br />
<br />
「今、お前が何を考えてるか、わかるよ。……お前の誕生日、今日じゃないって言いたいんだろう？」<br />
<br />
　当たらずも遠からずだ。<br />
<br />
「僕、いつ生まれたか、わからないから……」<br />
<br />
　そこまで、言ってから、ロロはルルーシュが過去に言っていた言葉を思い出す。<br />
<br />
　　『俺は、誕生日は、誕生を祝うものではないと思うんだ』<br />
　　『……じゃあ、なんなの？』<br />
　　『生まれてきてくれたことに、感謝する日だ』<br />
　　『何か、違いがあるのかな。祝うのと、感謝するのと』<br />
　　『……お前にもいつか、きっと、わかるよ』<br />
<br />
　――　いいんだ、いつでも。兄さんが、今日、僕の誕生日会をやりたいと思ったなら、それで。<br />
<br />
「……あれ、僕、何言ってたんだろう？　今日、誕生日だったよね！」<br />
<br />
　ロロがウインクしながら言うと、ルルーシュは一瞬きょとんとしてから、<br />
<br />
「ああ、そうだな。何言ってたんだろうな」<br />
<br />
　ロロに合わせてくれた。<br />
<br />
「びっくりしたよ。部屋が、全然違うから……」<br />
<br />
　せっかく盛り上げてくれようとしているのに、主役が盛り下げるわけにはいかない。ロロは間髪いれず、話題を変えながら、リビングを見渡した。部屋中に飾りつけがされていて、テーブルの上には、水を張ったガラスの器に花が浮かべてあった。<br />
　そして、リビングの変化で一番目を引くのは、大きなグランドピアノだった。<br />
　こんなもの、何処にもなかった筈だ。<br />
<br />
「すぐに準備を致しますから、ロロ様はここにお座りください。ほら、行くぞ。アーニャ」<br />
<br />
　ロロがジェレミアに言われた通りに椅子に座ると、おそらく二人きりになれるように気を効かせてくれいるのだろう、ジェレミアはアーニャを引っ張って出て行った。<br />
　二人がいなくなると、ルルーシュが口を開いた。<br />
<br />
「悪かったな、ここのところずっと追い出してて。……練習してたんだ。ピアノは今日まで隠して、な」<br />
「……この曲、兄さんが作ったの？」<br />
<br />
　ロロは、先程受け取った楽譜を持ち上げながら、訊いた。<br />
<br />
「そうだ。だから隙があればいつもお前を見てた。曲のイメージを作る為に、お前の仕草とか……ずっと見てたんだ」<br />
<br />
　ロロはルルーシュが自分をじっと見ていた日のことを思い出す。あの時からずっと、ルルーシュは曲を作っていたのだろう。<br />
　ロロは楽譜を開く。<br />
　一頁目を飾るのは、美しい文字で書かれた、その曲に与えられた名前。<br />
　“Rolo”<br />
　それが、曲の名前だった。<br />
　<br />
「……ありがとう」<br />
「それは、曲を聴いてから言って欲しいな」<br />
<br />
　言いながら、ルルーシュはピアノの前に置かれた椅子に座る。<br />
<br />
「最後のページを開くと、いいことがあるかもしれないぞ」<br />
<br />
　……え？　と訊こうとしたが、鍵盤に手をやるルルーシュの纏う空気が変わったのを感じて、ロロは何も口に出さなかった。この時間の為に、ルルーシュはずっと練習してくれていたのだ。今のルルーシュは、ピアノを弾くことに全神経を集中している。声などかけられるわけが、なかった。<br />
<br />
　ルルーシュが数回深呼吸をしたあと、曲が始まった。　<br />
<br />
　優しいメロディーから始まるピアノの音を聞きながら、ロロは“いいことがあるかもしれない”という楽譜の最後のページを開く。<br />
　そこには、五線譜がなかった。<br />
　代わりに書いてあったのは、ルルーシュからロロへの、メッセージだった。<br />
<br />
　『お前を目の前にして、言葉に出来るかどうか自信がないから、こうして書いておく。書いたからといって、俺の想いが伝わるかどうか自信がないが、それでも、伝えておきたいんだ。<br />
<br />
　いつか言ったと思うが、俺は今でも、誕生日は“生まれてきてくれたこと、そして一緒にいられることに感謝する日”　だと思っている。<br />
　それは感謝される側ではなくて、きっと感謝する側に必要な日なんだ。<br />
　生まれてきてくれたこと。そして生まれて来てくれたその人に出会えたことが、どれだけ奇跡的なことなのか、思い出す為に。出会えた奇跡の輝きが、日常の中に埋もれていかないように。<br />
　そして、これからも、相手を大切にしていけるように。<br />
<br />
　俺は、お前に出会えたこと、そして今こうして一緒に生きていられることに感謝しているよ。<br />
　お前が俺の命を助けてくれた時、あの時お前を失うかと思ったけれど、お前は帰ってきてくれた。生き残ってくれた。<br />
　“失ってから、大切だったことに気づいた”と言わずに済んだ。<br />
<br />
　もし、あの時お前を失っていたら、お前のことを知らないままになっていた。<br />
<br />
　一人で放っておいて料理を作らせると、見た目も味も豪快なものを作るところとか、<br />
　実はキレやすいこととか、<br />
　俺が反撃できないぐらいの毒舌家な時があることとか。<br />
<br />
　本当に、お互いに騙しあっていた時には信じられないぐらい、喧嘩をしたよな。ここに住むようになってから。<br />
<br />
　でも、俺は、嬉しいんだよ。お前とぶつかり合えることが。<br />
　毎日、新しいお前を知ることが。<br />
<br />
　お前が生きていてくれて、本当に、よかった。<br />
　“よかった”以外に言葉が書ければいいんだが、今の俺にはこれ以上のことは書けない。語彙不足だな。もっと勉強しておくよ。<br />
<br />
　そして、もう一つ。<br />
　あの時、お前を失っていたら、気がつかなかったと思うことががある。<br />
<br />
　お前が、どれだけ俺のことを大切に思ってくれているか。<br />
<br />
　俺はすぐに忘れてしまうんだ。<br />
　自分が愛することに精一杯で、相手が自分を愛してくれているということを。<br />
<br />
　そして、多分、お前もそうなんだと思う。<br />
　似て欲しくない所で似てるんだよ、俺たちは。<br />
　愛しているからこそ、相手が視界に映らなくなってしまうところが。<br />
<br />
　今俺はこうして、落ち着いてペンを握っているからこんなことが書けるが、また、お前が視界に映らなくなる時もあるかもしれない。<br />
<br />
　その時は、この頁を俺に見せてくれないか。<br />
　そうしたら、俺はまた、お前の姿をしっかりと瞳に焼き付けるから。<br />
<br />
　もし、お前が、俺のことで何か不安になったら、その時もこの頁を見て欲しい。<br />
<br />
<div style="text-align:center">“愛しているよ、ロロ。<br />
　生まれてきてくれて、ありがとう”</div><div style="text-align:right">　―― October, 25』</div><br />
<br />
　ロロはメッセージを読み終えると、目を閉じて、ルルーシュの弾くピアノの音に身を任せるようにして、背もたれに身体を預けた。<br />
<br />
“俺はすぐに忘れてしまうんだ。自分が愛することに精一杯で、<br />
　相手が自分を愛してくれているということを。<br />
　そして、多分、お前もそうなんだと思う。<br />
　似て欲しくない所で似てるんだよ、俺たちは。<br />
　愛しているからこそ、相手が視界に映らなくなってしまうところが”<br />
<br />
（そうだね。その通りだね……）<br />
<br />
　ピアノの音は優しいながらも力強い曲調へと変わっていく。これから未来へとしっかり進んでいく決意を示すような、そんな曲調へと。<br />
<br />
　自分も、忘れていたのかもしれない。<br />
　出会えたことは、キセキ。<br />
　今、こうしていられることも、キセキ。<br />
　そんなキセキ達の輝きを。<br />
　そして、ルルーシュがどれだけ自分を大切に思っていてくれているのかを。<br />
　“愛することに精一杯”で、“相手が視界に入らなくなってしまう”から。<br />
　少し注意して、目を凝らせば見えるはずのものが、自分達にはすぐに見えなくなってしまう。<br />
　だから、不安になって、違う方向に走ろうとするのだ。<br />
“自分は帰ってもいいのだろうか”という不安に駆られて。<br />
<br />
　けれど、そんなことを心配する必要なんてないのだと、ルルーシュの綺麗な指先が奏でるピアノの音を聴いて、思う。<br />
　<br />
　じぃ、とロロを見つめ、ロロがいなくなると、一生懸命作曲をしているルルーシュの姿が目蓋の裏に浮かぶ。上手く作曲が進まなくて、楽譜を破って捨てた日だって、あっただろう。曲を作り終わってからもきっと、どんな風に弾こうかとピアノにずっと向かっていたのだろう。弾いている内に、イメージが違うと、また曲を書き直したりしたこともあったかもしれない。<br />
　ロロに渡す楽譜のデザイン、そして楽譜を入れる封筒だって、きっと頭をフル回転して考えてくれたのだろう。渡された楽譜に書かれた音符は全て直筆だから、全神経を使って、少しでも美しく見えるように書いてくれたのだと思う。<br />
<br />
　……この人の、何を疑えばいい？？<br />
<br />
　やがて、曲が終わって、沈黙が部屋を支配した。<br />
　ルルーシュは、ロロの方を振り向くタイミングを決めかねているようだった。ロロは、そんなルルーシュを待つ。<br />
<br />
「……どう、だった？」<br />
<br />
　いつもは何もかも完璧にこなそうとするルルーシュが、途切れがちに言いながら、ロロの方を振り向く。ルルーシュの不安そうな表情に驚きながら、ロロは、はっとして立ち上がった。楽譜をめくり、最後のページを開いて、何も言わずに、メッセージの一節をルルーシュに示して見せた。<br />
<br />
“今俺はこうして、落ち着いてペンを握っているからこんなことが書けるが、また、お前が視界に映らなくなる時もあるかもしれない。<br />
<br />
　その時は、この頁を俺に見せてくれないか。<br />
　そうしたら、俺はまた、お前の姿をしっかりと瞳に焼き付けるから。”<br />
<br />
　ルルーシュは小さく、「そうだな」と言ってからロロを見上げた。<br />
　きっとルルーシュには、しっかり見えているだろう。<br />
　ロロが微笑を浮かべているのが。<br />
　そしてその微笑の中に、ルルーシュの作ってくれた曲を、ロロがどう思っているのかを読み取ってくれるだろう。<br />
<br />
「……ありがとう」<br />
<br />
　今は、それしか言えない。“気に入った”とか“良かった”とかそんな言葉はどれも、自分の気持ちをちっとも代弁してくれなくて、それ以外の候補も、全然、駄目だった。<br />
　ルルーシュが安堵したように、息を吐いた。<br />
<br />
「ロロ」<br />
<br />
　愛しむように、甘い声で名を呼ばれて、頭の中が蕩けそうになりながらも、ロロはなんとか返事をする。<br />
<br />
「何、兄さん？」<br />
<br />
「……生まれてきてくれて、ありがとう」<br />
<br />
<br />
<br />
<div style="text-align:center">大好キ。</div><br />
<br />
<br />
<br />
<終><br />
<br />
BGM<br />
Future　/　作曲：dai　（←ルルーシュが弾いてる曲のイメージはここからです）<br />
明日の夢 / vocal:佐倉かなえ<br />
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    </content>
    <author>
            <name>No Name Ninja</name>
        </author>
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    <id>rolo.blog.shinobi.jp://entry/89</id>
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    <published>2009-10-25T23:15:30+09:00</published> 
    <updated>2009-10-25T23:15:30+09:00</updated> 
    <category term="ロロルルロロ" label="ロロルルロロ" />
    <title>October,25</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<br />
<br />
<br />
<br />
　出会いは嘘から始まった。<br />
　その嘘の一年が終わったあと、今度は、一年間嘘をつかれた方が、嘘をついた。<br />
<br />
　二人の嘘がようやく終わってから、また、一年が経った。<br />
<br />
　色々なことがあった。<br />
　<br />
　それまで、不自然なぐらいに仲が良かったのは、二人の間に「嘘」があったからだ。<br />
　嘘をつくのをやめて、お互いに向かい合った時、自分達はこんなにも相手のことを知らなかったのか、と何度も愕然とした。<br />
　<br />
　一年の間に幾度もぶつかって、ぶつかって……。<br />
　言ってしまった言葉と、言われた言葉に落ちこむ日もあった。<br />
<br />
　“自分達が、こうして共に生きることにしたのは間違いではなかったのか？”と。<br />
<br />
　けれど、もう口もきけないのではないのかと思うぐらいに、酷いことを言い合った次の日の朝を迎えた時、気まずい空気が少しづつ薄らいでまた笑い合えた瞬間に、思うのだ。<br />
<br />
　“一緒にいられて、良かった”と。<br />
<br />
　そのたびに、「出会えた」という奇跡を忘れかけていた自分が情けなくなる。<br />
<br />
　幸せでい続ける為に絶対に忘れてはいけないことは、<br />
　それはきっと、「今、自分が幸せである」という事実だというのに。<br />
<br />
　だから、決して忘れないように。<br />
　出会えた奇跡と、今こうしていられることの奇跡を。<br />
<br />
　<br />
<br />
<div style="text-align:center"><span style="font-size:220%">＜October,25＞</span>　（前編）</div><br />
<br />
<br />
<br />
　そこは、窓の無い部屋だった。<br />
　けれど、その部屋にいる者が決して圧迫感を覚えないのは、取り付けられた明かりや、香り、そしてインテリアに工夫があるせいかもしれない。洒落たそのリビングにいる時、ロロはいつだってくつろいでいた。<br />
　だが、そんなリビングで……ロロは今日、決してくつろいでいなかった。<br />
　気のせい、と思いたかったのだが。<br />
　ロロの気のせい……な、わけがなかった。<br />
　幼い頃の環境のせいで、ロロは、自分に視線が向けられればすぐに気づいてしまう。<br />
　しかし、別にそういう過去を持つロロでなくとも、いわゆる「ガン見」としか言えないような目でじぃ、と自分の動きの一部始終を目で追われていれば、自分が「見られている」ということには気づくのが当たり前だ。<br />
<br />
「……兄さん、何？」<br />
<br />
　だが、先程からずっとロロを「ガン見」していた張本人は、自分の視線があっさりと気づかれたことに驚いたらしい。ソファに身を沈め、優雅に長い脚を組みながら余裕の表情を浮かべていたというのに、ロロに声をかけられ慌てて目を丸くして、<br />
<br />
「なんでもない。……普通にしててくれ」<br />
<br />
　誤魔化せると思っているのか、驚きを隠すように優しく微笑んでそう言った。<br />
　普通にしててくれと言われてもなぁ、と困りながらも「そう？」と言って、ロロは作業に戻る。先程から大きな花瓶の移動をしていたのだ。<br />
　おそらくルルーシュが全力を出しても持てないであろうその花瓶を、頼まれていた場所に置く。運んでいるときに花瓶の中でずれてしまった花の位置をロロが直していると、また、はっきりとした視線を感じた。<br />
　なんだろう、と、ルルーシュに気づかれないように、斜め前に立てかけてある鏡を見ると、やはりルルーシュがロロをじっと見ていた。<br />
　鏡越しに見える紫の瞳にある感情は、読みにくいものだった。ただ、真剣にロロを「視よう」としているという感情以外、何も読み取れない。<br />
<br />
（……気になる……）<br />
<br />
　大きな葉の手入れするふりをしながら、ロロもまた紫の双眸を見つめる。ルルーシュはそれに気づかずに、ロロを見つめ続ける。<br />
<br />
（……そんなにずっと見ていなくても、兄さんを置いて、何処にも行ったりしないのに）<br />
<br />
　どうせ、理由を聞いても今は教えてくれないのだろうな、と思いながらも、愛しい兄がそうやって自分を見ていることに、悪い気はしない。<br />
<br />
（……気になるけどね）<br />
<br />
　やがてロロは作業を終えると、<br />
<br />
「兄さん、先にシャワー使っていい？　少し汗かいちゃって」<br />
<br />
　ルルーシュの方を振り返って言った。<br />
　ルルーシュは、ロロに視線を気づかれていたことなど知らないのか、<br />
<br />
「ああ、いいよ。……ありがとう。俺には持てなかったからな。それ」<br />
<br />
　花瓶の方に少し目をやってから言った。<br />
　穏やかにロロを見るルルーシュの瞳は優しげに細められていて、先程までじっと見られていたことなど、ロロはどうでもよくなってしまった。<br />
<br />
　　　＊<br />
<br />
　ロロがシャワーを浴びに行ってしまうと、ルルーシュはソファに座ったまま瞳を閉じた。<br />
　眠る為ではない。目蓋の裏に描きたい光景があるからだ。<br />
　自分が見たものが忘却の彼方へと去ってしまう前に、ルルーシュはその細部までを思い描く。<br />
　ロロが花瓶を持ち込んでいる姿、『……兄さん、何？』と小首を傾げながら尋ねてくる姿と声、そして生けられた花の世話をしている姿。<br />
　ルルーシュは、ロロの一つ一つの動作を細かいところまで思い出していく。<br />
<br />
　はたから見れば、ルルーシュは幸せな夢でも見ているかのようだった。<br />
　やがて、ルルーシュは目を閉じたまま、両手をゆっくりと宙に上げる。<br />
　そしてその両手で何かをしようとした時――。<br />
<br />
　今まで何度も何度も聞いた携帯の呼び出し音が、リビング中に響いた。<br />
　ルルーシュは飛び起き、テーブルに置いてあった電話を、ディスプレイに表示された相手の名前も見ずにとった。この呼び出し音が鳴る相手は一人しかいない。<br />
<br />
「私だ」<br />
<br />
　相手に合わせて、ルルーシュは自然に「私」と言った。<br />
<br />
『陛下』<br />
「陛下じゃない」<br />
<br />
　生真面目な男の言葉を、ルルーシュはすかさずたしなめる。もうルルーシュが『陛下』と呼ばれる地位を退いてから（退いたというか、引きずりおろされたというか、自分から飛び降りたというべきか……？）、一年以上経つ。<br />
<br />
『失礼しました。……ルルーシュ様』<br />
「あれからもうどれぐらい経つと思ってるんだ？　ジェレミア。もういい加減その癖が抜けてもいいだろう」<br />
『……善処します』<br />
<br />
　本当に申し訳ないといった厳粛な声音で言うジェレミアをそれ以上追求する気にはなれず、<br />
<br />
「……で、どうした？」<br />
<br />
　ルルーシュは尋ねた。<br />
<br />
『例のものが届きましたのでご連絡致しました。いつでもご使用出来るようにしてあります』<br />
<br />
　ジェレミアの言葉に、ルルーシュは思わず笑みを浮かべた。<br />
<br />
「そうか。……ご苦労だった。礼を言う」<br />
『勿体なきお言葉』<br />
「悪いな。『元悪逆皇帝』の贅沢な買い物につき合わせて」<br />
『いいえ。ご家族を思われての陛下……、いえ、ルルーシュ様のお入用の品でしたら、何でも』<br />
<br />
　ルルーシュは思わず吹き出す。ルルーシュがジェレミアに手配するように言った品は、決して安い物ではないし、手軽に持ち運びが出来るものでもないから、その仕事を労ったつもりだったのだが、大真面目な返答が返ってきてしまった。<br />
<br />
「では『家族思い』の私は、後で早速、例のものを使わせてもらう事にするよ」<br />
『御意』<br />
「その時は、また頼む。……ロロに感づかれないように」<br />
『イエス、ユア、マ……いえ。了解しました』<br />
<br />
“それ、わざとやっているんじゃないだろうな？”　という言葉が喉元まで出かかったが、ルルーシュは我慢した。<br />
<br />
　　　＊<br />
<br />
　ルルーシュがロロを「ガン見」していたことなど、ロロが忘れてしまうぐらいの時間がたったある日の朝のこと。<br />
<br />
「……今、なんて？」<br />
<br />
　ロロが若干上ずった声で訊き返すと、ルルーシュはすぐには答えず、黒々としたコーヒーを平然とした様子で少し飲んだ。<br />
　ロロは、辛抱強くルルーシュの返答を待つ。<br />
<br />
「言った通りなんだが」<br />
「言った通りって……！！」<br />
<br />
　ロロはついさっき、ルルーシュに告げられた言葉を思い出す。やっぱりわけがわからないよ、とロロが追撃しようとした時、ルルーシュが全く同じ言葉を言った。<br />
<br />
「アーニャとデートしてこい」<br />
<br />
　開いた口が塞がらないとはまさにこのことだ。<br />
　は、なんでデート？　しかもなんでアーニャと？　わけがわからないっ！<br />
　ルルーシュのすぐ横で、相変わらずの無表情を浮かべながらたたずんているアーニャを一瞥してから、ロロは声を荒げた。<br />
<br />
「何で！？　どうして！？　理由は！？」<br />
「俺は外に出られないし……。お前もずっと同じような所にいたらストレスがたまるだろう？　たまには羽目を外して来い。変化が無い日々だとボケるかもしれない」<br />
「ボケって……余計なお世話だよっ！！」<br />
「ロロ……私じゃ不満……？」<br />
　<br />
　ぽつりと呟いたアーニャに、<br />
<br />
「……兄さん以外とデートして何が楽しいんだよっ！」<br />
<br />
　思わずロロが本音を暴発させた。<br />
　アーニャの表情は変わらなかったが、まとう空気が明らかに変わったのがロロ以外の人間にはわかり、<br />
<br />
「……ロロ。今のは言いすぎだぞ」<br />
「そうですよロロ様。今の言葉は紳士が女性に口していい言葉ではありませんよ」<br />
<br />
　口々にロロをたしなめた。<br />
<br />
（……何この空気……）<br />
<br />
　風向きはどうみても自分に悪い方向になっている。元々ルルーシュが無茶苦茶なことを言い出したのが悪いというのに。<br />
<br />
「アーニャ。……ロロがもし完璧にエスコート出来たら、今の言葉、許すよな？」<br />
「……。うん、許す」<br />
「……だ、そうだ。ロロ、埋め合わせをしてこい」<br />
<br />
　何だこの流れ。意図が読めない。<br />
　ロロが唖然としていると、ほらほらロロ様こちらですよ、ロロ行くよ、とロロはジェレミアとアーニャに両腕を捕まれて引きずって行かれた。<br />
<br />
　　　＊<br />
<br />
　次の日。<br />
<br />
「ロロ。今日はジェレミアとデートしてこい」<br />
「間違ってもそこで『デート』って言って欲しくないんだけど」<br />
「……悪かった。出かけて来い」<br />
<br />
　この頃には、ロロはルルーシュの意図が、なんとなく読めていた。<br />
<br />
　　　＊<br />
<br />
　次の次の日。<br />
<br />
「ロロ。買い物を頼みたいんだが」<br />
「いいよ、どうせ遠いところに買いに行けって言うんでしょう？」<br />
「……」<br />
　<br />
　皮肉を込めたロロの言葉に、ルルーシュは少し顔を曇らせた。<br />
　それを見て、ロロはすぐに反省した。<br />
<br />
（ああ、気づかない振りをしてればよかったのに）<br />
<br />
「気にしないで。……何を買ってくればいい？」<br />
<br />
<br />
<br />
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    </content>
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            <name>No Name Ninja</name>
        </author>
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    <id>rolo.blog.shinobi.jp://entry/88</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://rolo.blog.shinobi.jp/%E3%83%AD%E3%83%AD%E3%83%AB%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%83%AD/%E2%80%9C%E3%81%84%E3%81%A4%E3%81%8B%E2%80%9D%E5%8F%B6%E3%81%86%E3%81%A7%E3%81%97%E3%82%87%E3%81%86%E3%81%8B%EF%BC%9F" />
    <published>2009-08-18T00:05:32+09:00</published> 
    <updated>2009-08-18T00:05:32+09:00</updated> 
    <category term="ロロルルロロ" label="ロロルルロロ" />
    <title>“いつか”叶うでしょうか？</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[・携帯で見るとタグが反映されないので、残念なことになると思います。<br />
・8月17日は、ロロがルルーシュの為に、必死に戦った日。あれから一年経ったのだなぁという想いの中で、書きました。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<div style="text-align:center"><br />
　人の願いなんて、いつも矛盾しています。<br />
　僕の願いもまた、その例外ではないのだと、よくわかっています。<br />
<br />
　でも今だけ、貴方には聴こえない声で、そっと言わせてください。<br />
<br />
　貴方が傍にいないから、<br />
　貴方に触れられないから、<br />
　貴方と話が出来ないから、たまらなく寂しいのです。<br />
<br />
　貴方に傍にいて欲しい（傍にいたい）と、<br />
　触れたい（触れて欲しい）と、<br />
　僕の言葉に応えて欲しい（貴方の言葉に応えたい）と、<br />
　狂ったように叫びたくなる時があります。<br />
<br />
　いつか傍にいられる時が来る？　<br />
　いつか触れられる時が来る？　<br />
　いつか言葉を交わせる時が来る？<br />
<br />
　「いつか」ッテ、イツデスカ？？<br />
　「いつか」ナンテ、「いつまでも」コナイノデハアリマセンカ？<br />
<br />
　煌びやかに輝く黄金の懐中時計が、<br />
　残酷な時間の中でどれ程錆付いていけば、その時はやってきますか？<br />
<br />
　だから、こう思ったのです。<br />
　貴方がサインさえしてくれれば、<br />
　すぐに此処へと招くことの出来る招待状を贈ることが出来たなら、<br />
　たとえ、<br />
　世界に一枚しかない紙を用いろと、<br />
　世界に一本しかない万年筆とインクでなければならないと言われ、<br />
　芸術作品と賞賛されるような文字を連ねなければならないとしても、<br />
　僕はその招待状を書き上げるだろうと。<br />
<br />
　けれど、決して、書き上げたその招待状は、<br />
　永遠に、<br />
　何処にも投函されることはないのでしょう。<br />
　何故なら、書き上げたその瞬間に、きっと自分の気持ちが分かってしまうから。<br />
<br />
　そう、だからこそ今、そっと言わせてください。<br />
　僕の想いは、書き上げた招待状と共に持ち帰るから、<br />
　……だからせめて、<br />
　この言葉を口にすることだけは許してください。　</div><br />
<br />
<br />
<strong><div style="text-align:center"><span style="font-size:150%">＜“いつか”叶うでしょうか？＞</span></div></strong><br />
<br />
<br />
　そこは、ホテルの一室だった。<br />
　空調のささやかなそよ風に、レースのカーテンが揺れていた。カーテン越しに見えるのは、遙か下にある眠らない街の光と、その道路を流れていく交通手段のヘッドライトとテールライト、そして少し離れた所に集まっている高層ビル群だった。<br />
　目を凝らせば、そのうちのいくつかはホテルのようで、カーテンを閉め忘れた部屋の中が見えるものもあった。建物の上の方に目をやれば、空を行く交通手段のパイロット達に存在を知らせる為に、高層ビル群に取り付けられた数々の赤いランプが点滅しているのが見える。<br />
　しばらく、そうやって窓の外を見てから、ロロはじっと、ガラスの窓そのものをじっと見てみた。黒い夜空を背景に、自分の姿が映りはしないかと思ったのだ。<br />
　ひょっとしたら、と、淡い期待を抱きながら、ロロはじぃ、と窓を見つめる。<br />
<br />
（映るわけ、ない、か……）<br />
<br />
　何をやっているんだろう、と、自分の馬鹿さ加減にロロは溜息をつく。そうだ、本当に馬鹿だ。さっきだって、兄さんは僕の真横を素通りしたじゃないか、と。<br />
　ロロがゆっくりと部屋の方に振り向くと、ベッドに座りながら髪を乾かし終えたルルーシュが、ちょうどドライヤーの電源を切ったところだった。きっちりとドライヤーのコードを元あったようにまとめているのを見ながら、ああ兄さん、そういう所はちっとも変わっていないんだなぁ、とロロは口元に笑みを浮かべる。<br />
　ロロが見ていることも知らず、ルルーシュは部屋の明かりを消してから、ベッドに静かに横になった。<br />
<br />
「……お休み」<br />
<br />
　目を閉じながらそう言ったルルーシュの声を聞いて、ロロはルルーシュの言葉が自分にかけられたもののように錯覚して、目を丸くしてから、<br />
<br />
（そんなわけないじゃないか）<br />
<br />
　すぐにルルーシュが無意識で言ったのだと理解し、<br />
<br />
「……お休みなさい、兄さん」<br />
<br />
　ベッドの傍で、静かにそう言った。<br />
<br />
「本当に変わらないな……兄さん」<br />
<br />
　ルルーシュの寝顔を見ながら、ロロはぽつりと呟く。<br />
<br />
「そこ以外はね」<br />
<br />
　ロロの目の先には、ベッドに投げ出されたルルーシュの手のひらがあった。赤いギアスのマークがどうしたって目を引く。<br />
　ルルーシュが手のひらにその赤い紋章を刻まれてから、どれほどの時間が経ったのだろう、とロロは思う。少なくとも、ルルーシュがこうしてホテルに堂々と泊まれるぐらいには、時間が経ってしまったのだ。悪逆皇帝が完全に遙か過去の人となって、たとえ同じ顔の人間がいても、「そっくりさん」で済まされる時代へと変わるぐらいには。<br />
　ルルーシュと思い出を共有出来る者達の命が尽きたのは、遙か昔のことだ。<br />
<br />
　そう、自分もまた、それほどの時間、ルルーシュを待ち続けている。<br />
　どれほど時間が経ったのか、数字で認識することが出来なくなる程に。<br />
　<br />
　それでも、ルルーシュは永い時間を生き続けている。<br />
　どうやらルルーシュには何か願いがあって、それを叶える為に、たった一人で生き続けているようなのだが、誰にもその目的を言わないから（言う相手がいないのだが）、ルルーシュが何を秘めているのか、ロロには全くわからない。<br />
<br />
<div style="text-align:center">貴方ガイナイカラ、安ラカニ眠ルコトガ出来マセン。</div><br />
<br />
　何かを求めるように、孤高に生きるルルーシュの姿を見ながら、一体どれほど、自分の傍に来て欲しい、と願ったのだろう。<br />
　早く、また話がしたい。<br />
　早く、また触れ合いたい。<br />
　しかしそう願うことはルルーシュに<u>「<strong>早く死ね</strong>」</u>と告げるのと、同じこと。<br />
　自分の傍にいて欲しいという願うたびに、世界で一番大切な人の死を願っている自分を何度責めたことだろう。<br />
　確かに、ロロが命を捧げたのは、自分がルルーシュの傍にいたかったからだ。ルルーシュの傍にいたいという自分の望みは、生前から全く変わっていない。ルルーシュの死を願うことと、自分が生前に命をかけてルルーシュを守ったこととは、決して矛盾しない。<br />
　けれど、だからといって、「兄さん、死んで欲しいんだ」とルルーシュに正面から告げる自分の姿は想像することさえも出来ない。<br />
<br />
<div style="text-align:center">傍ニイテ。寂シイデス。</div><br />
<br />
　ロロはルルーシュのベッドの傍でしゃがみながら、ルルーシュの寝顔を見つめる。<br />
　<br />
<div style="text-align:center">早ク、僕ノ傍ニ来テクダサイ。貴方ニ触レタイ。</div><br />
<br />
　もう何度も、その頬に触れようと手を伸ばし、すり抜ける自分の指先を見て絶望してきたから、手は伸ばさない。すり抜けた瞬間の、無い筈の心臓が締め付けられるような感覚は、忘れようとしても忘れられないのだ。<br />
<br />
「ねぇ、兄さん。……兄さんは、何をそんなに、頑張っているの……？」<br />
<br />
　ロロは、尋ねる。<br />
　思い出を共に語り合う者がいなくなっても、新たに友人をつくるわけでもなく、たった一人で、今、ルルーシュは何かに立ち向かっている。<br />
　世界中を回り、何かに駆られるように古書を調べ上げ、長時間、一人で必死な顔をして何かを考えている。<br />
　その姿を見て、ロロは思うのだ。<br />
　ルルーシュの戦いは、まだ、終わっていない。それが終わるまで、ルルーシュがロロの傍へと帰ってくることはないのだろう。<br />
<br />
　ルルーシュは、今度こそ、本当に一人で、戦っている。<br />
<br />
　誰にもその荷を分けることなく、たった一人で。<br />
　ルルーシュの戦いが何に始まり、何に終わるのかだけでも分かれば、こうして漠然とした不安の中で待ち続けなくて済むのに、ルルーシュが何と戦っているのかさえ分からない。<br />
<br />
「兄さん。もう、頑張らなくていいんだよ……？」<br />
<br />
　自分の傍に来てくれないのなら、せめて、またルルーシュには笑って生きて欲しかった。<br />
　ひょっとしたら、生きる時間が違う普通の人間と付き合えば、別れる悲しみを味合わなければいけないから、ルルーシュは人との付き合いを避けているのかもしれない。<br />
　それでもいいではないか。毎日、辛そうな顔をしながら、たった一人で戦うよりは。<br />
　けれどもし、自分がそれを伝えられたとしても、ルルーシュは頷いてはくれないだろう。<br />
<br />
（……頑固だから、僕の兄さんは）<br />
<br />
　これをする、と、本当に心の奥底から決めてしまったら、それを成すまでは決して、止まりはしない。<br />
<br />
　いつになったら、また、兄さんは僕を綺麗な紫の瞳に写してくれるのだろう？<br />
　いつになったら、また、兄さんに触れることが出来るのだろう？<br />
　いつになったら、また、兄さんと言葉を交わすことが出来るのだろう？<br />
<br />
　独り言を言うこともなく、一人で生きていくルルーシュを見て、きっとルルーシュはロロのことなど忘れているのだろうと思ったこともあった。<br />
　寂しいと、<br />
　触れたいと、<br />
　言葉を交わしたいと、<br />
　こんなにも求めているのは、自分だけなのだと。<br />
　もう、自分には、こうしてルルーシュの姿を見に来ることも許されないのかと思ったこともあった。<br />
　けれど、ある日、ルルーシュが今にも消えてしまいそうな声で、<br />
<br />
「ロロ」<br />
<br />
　と、誰もいない虚空に向かって言った時、わかったのだ。<br />
　決して、ルルーシュはロロのことを忘れてはいないのだと。<br />
<br />
「そんな所に僕はいないよ」<br />
<br />
　と、ロロがいくら告げても、その言葉はルルーシュに届かなかった。明後日の方向に手を伸ばしながら、「ロロ」と何度も口にしたルルーシュの姿があまりにも悲痛で、その行動を止めさせてあげられない自分はあまりにも無力だった。<br />
　そうやってルルーシュがロロの名を呼んだのは、その時だけだった。けれど寂しいのは自分だけではなくて、ルルーシュも同じだったのだ。無駄だとわかっていながら、また触れられるのではないかと、宛てもなく手を伸ばしてしまう程に。<br />
　<br />
　一歩間違えば狂気の海に堕ちてしまいそうな程に、「傍にいたい」というこの想いは、自分だけのものではなかったのだ。<br />
<br />
<br />
　だからこそ、願わずにはいられない。自分には、それしか、出来ないから。<br />
<br />
<div style="text-align:center">　<br />
人の願いなんて、いつも矛盾しています。<br />
　僕の願いもまた、その例外ではないのだと、よくわかっています。<br />
<br />
　でも今だけ、貴方には聴こえない声で、そっと言わせてください。<br />
<br />
　貴方が傍にいないから、<br />
　貴方に触れられないから、<br />
　貴方と話が出来ないから、たまらなく寂しいのです。<br />
<br />
　貴方に傍にいて欲しい（傍にいたい）と、<br />
　触れたい（触れて欲しい）と、<br />
　僕の言葉に応えて欲しい（貴方の言葉に応えたい）と、<br />
　狂ったように叫びたくなる時があります。<br />
<br />
　いつか傍にいられる時が来る？　<br />
　いつか触れられる時が来る？　<br />
　いつか言葉を交わせる時が来る？<br />
<br />
　「いつか」ッテ、イツデスカ？？<br />
　「いつか」ナンテ、「いつまでも」コナイノデハアリマセンカ？<br />
<br />
　煌びやかに輝く黄金の懐中時計が、<br />
　残酷な時間の中でどれ程錆付いていけば、その時はやってきますか？<br />
<br />
　だから、こう思ったのです。<br />
　貴方がサインさえしてくれれば、<br />
　すぐに此処へと招くことの出来る招待状を贈ることが出来たなら、<br />
　たとえ、<br />
　世界に一枚しかない紙を用いろと、<br />
　世界に一本しかない万年筆とインクでなければならないと言われ、<br />
　芸術作品と賞賛されるような文字を連ねなければならないとしても、<br />
　僕はその招待状を書き上げるだろうと。<br />
<br />
　けれど、決して、書き上げたその招待状は、<br />
　永遠に、<br />
　何処にも投函されることはないのでしょう。<br />
　何故なら、書き上げたその瞬間に、きっと自分の気持ちが分かってしまうから。<br />
<br />
　そう、だからこそ今、そっと言わせてください。<br />
　僕の想いは、書き上げた招待状と共に持ち帰るから、<br />
　……だからせめて、<br />
　この言葉を口にすることだけは許してください。<br />
</div><br />
<br />
「……いつかまた、兄さんと笑い合えますように」<br />
<br />
　ルルーシュが何かを願ったなら、必ずその願いは、どれほど時間がかかってもルルーシュ自身の手で叶えるだろう。<br />
　少なくともその願いが叶うまでは、自分はルルーシュと再会することは出来ないのだとしても、ルルーシュには願いを叶えて欲しい。<br />
<br />
（そうでないと、兄さんらしくないもの）　<br />
<br />
　だから、自分は、”早く会いたい”とは、口にはしない。<br />
<br />
<div style="text-align:center">　けれど、“いつか”また笑いあいたいという願うことだけは、どうか、許してください。<br />
　“いつか”がいつかわからなくていいから。<br />
<br />
　それが貴方の死を願うことと同義だとわかっていても、<br />
　傍にいたいというこの気持ちだけは、<br />
　どうやっても偽ることが出来ないから。<br />
　</div><br />
<br />
「ずっと、……待ってる」　<br />
<br />
　　　＊<br />
<br />
　ルルーシュが目を覚ますと、丁度地平線から太陽が顔を覗かせている所だった。<br />
　そこはホテルの一室だった。――　遠い昔、エリア11と呼ばれた場所の。<br />
　時差ぼけでまだ眠りたがっている身体を無理やり起き上がらせ、ルルーシュは携帯端末で目的地までの交通機関を確認し、手早く着替えて荷造りを終えた。<br />
　行き先は、富士山の見える、あの場所。<br />
　行こう行こうと思いながら、ずっと行くことの出来なかった場所。<br />
<br />
　墓前で何を言ったところで、死者に何も伝わらないことは頭で分かっていても、永い年月の間、一度もそこを訪れることが出来なかったという事実は、いつも頭の中にあった。<br />
　自分がこれから何をしようとしているのか、何が目的なのか、墓前に報告したところで何の意味もないことなのかもしれない。それでも、永い戦いに終止符を打つ為にも、自分が何処に行こうとしているのか、その原点に立ち返ることが、必要だった。<br />
<br />
「……待たせて、ごめんな。……ロロ」<br />
<br />
　その名を口にしただけで胸が痛むのは、最初にロロの墓前に立った時は、すぐにでもロロの元へと逝くつもりだったからだ。父を倒し、すぐにでもロロの元へと。<br />
　それが、こんなにも遅くなってしまい、しかも、まだ自分の戦いには終わりが見えない。<br />
<br />
（……もう、俺のことなんて、忘れてるかもな）<br />
<br />
<div style="text-align:center">約束ヲ何一ツ、果タシテヤレナカッタ男ノコトナンテ。<br />
<br />
未来ヲ与エルコトモデキズ<br />
傍ニイルコトモ出来テイナイ俺ノコトナンテ。</div><br />
<br />
　自嘲気味な笑みを浮かべてそんなことを考えながらも、本当は、わかっていた。きっと、ロロは、ずっと待っているのだろうと。<br />
　わかっているからこそ、一日、また一日と、ロロがいた時間から自分が遠ざかっていくのが辛い。<br />
<br />
　一体、どれだけロロを待たせればいいのだろうか？<br />
　この戦いがいつ終わるかなんて、全くわからない。いつ終わるか分かるような戦いなら、とっくの昔に終わらせている。<br />
　終わりが何処にあるのか、見当もつかないのだ。<br />
<br />
<strong>　だからこそ。<br />
　いつか、<br />
　必ず、<br />
　終わらせる。<br />
　例え、どれほどの時間がかかっても。</strong><br />
<br />
　それだけが、自分が、ロロの墓前で約束出来ること。<br />
　その為に、自分はこの地に再び降り立ったのだ。<br />
　<br />
　それが、<br />
　永い時間を待たせている弟へ、花束と共に墓前に贈る約束。<br />
<br />
<div style="text-align:center"><strong><br />
どんなに永くかかったとしても、必ず、お前のところ帰るから。<br />
そうしたら、今度こそ始めよう。<br />
二人の、明日を。<br />
<br />
ずっと、欲しかったんだ。お前との、明日が。</strong></div><br />
<br />
<br />
<br />
<br />
終<br />
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<br />
BGM　楽園-fantasm-<br />
↑　SSのタイトルは、これの歌詞を参考にしました。<br />
<br />
<br />
]]> 
    </content>
    <author>
            <name>No Name Ninja</name>
        </author>
  </entry>
  <entry>
    <id>rolo.blog.shinobi.jp://entry/86</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://rolo.blog.shinobi.jp/%E3%83%AD%E3%83%AD%E3%83%AB%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%83%AD/%E9%9D%92%E5%B9%B4%E7%B7%A8%EF%BC%88%EF%BC%95%EF%BC%89_86" />
    <published>2009-05-31T20:22:27+09:00</published> 
    <updated>2009-05-31T20:22:27+09:00</updated> 
    <category term="ロロルルロロ" label="ロロルルロロ" />
    <title>青年編（５）</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<br />
<br />
<br />
<br />
<strong>「全ては悪い夢でした。<br />
目を覚ましたら、隣で愛している人が笑ってくれていました」</strong><br />
<br />
　何処かで聞いた御伽噺のようにそう言えたなら、どれほど幸せなのだろう？<br />
<br />
　きっと、ほんの一瞬でもそう思ってしまったことが、全ての始まり。<br />
<br />
　そんな結末が来ないことは、知っていたのに。<br />
<br />
　顔も声も失われた先には何が待っている？<br />
<br />
<div style="text-align:center"><br />
<br />
<span style="color:#FF0000"><strong>マ<br />
サ<br />
カ<br />
<br />
今<br />
デ<br />
モ<br />
、<br />
夢<br />
落<br />
チ<br />
デ<br />
済<br />
ム<br />
ト<br />
、<br />
思<br />
ッ<br />
テ<br />
ル<br />
？<br />
？<br />
？</strong></span></div><br />
<br />
<br />
<br />
<span style="font-size:220%"><div style="text-align:center">青年編（５）</div>　　</span><br />
<br />
<br />
　ずっと、ずっと、待ち続けた。<br />
　会いたい、という想いだけが、わけもわからないのに膨らみ続けた。<br />
　バチン、ト音ヲ立テテ弾ケルマデ、後何日？<br />
<br />
　　　　＊<br />
<br />
　まばゆいほどの月明かりが、屋敷のロビーを照らしている。風の音一つしない夜に、青年はロビーの中央で微笑んでいた。<br />
<br />
「……また会えて、嬉しいよ」<br />
<br />
　青年は、目の前にいる“彼”に向かって言った。“彼”が小首を傾げたのがわかる。けれど、青年の言葉をどう受け取っているのか、読み取ることは出来ない。<br />
　どうしてこんなに長い間会いに来てくれなかったのか、とほんの少し前まで“彼”を罵りたいとさえ思っていたというのに、青年は既に、そんなことは忘れていた。<br />
<br />
　また、会えた。それだけで十分だった。<br />
　それだけで、会えなかった時間の長さなど、どうでもよくなってしまう。大事なのは、今目の前に“彼”がいるという、それだけ。涙が流せたなら、とっくに大粒の嬉し涙を流していたかもしれない。<br />
<br />
　“彼”がゆっくりと歩き出したので、青年もその後を歩く。<br />
　一緒にいられたからと言って、何か出来るわけではないけれど、こうして共にいるのだとわかるだけで、良かった。<br />
<br />
「今開ける」<br />
<br />
　二階の個室の前で立ち止まった“彼”にそう告げて、青年はドアを開けた。<br />
　掃除をする気力がなくてずっと客間で寝起きしていたが、さすがにベッドを使いたくなって、最近ようやく寝室用に掃除した部屋だ。<br />
　入るようにと「彼」を手招きして、“彼”が部屋に入ってから、自分も部屋に入った。<br />
　もちろん、明かりはつけない。<br />
<br />
「……最近、何故だか身体が重いんだ。悪いが、横になってる」<br />
<br />
　“彼”が頷く気配を感じながら、青年はベッドで横になった。<br />
　身体が、重い。“彼”の前で情けないけれど、実は、立っているのもやっとだったのだ。<br />
　そんな青年を、“彼”はベッドの傍で微動だにすることなく見おろしているようだった。　　青年もまた、“彼”を静かに、穏やかな表情で見上げる。<br />
　こうして、見えない“彼”の姿を見ているだけで、落ち着く。会えない時間は本当に長かったけれど、待っていてよかったと、独りきりの夜も、この瞬間の為にあったのだと、心の底から思う。<br />
<br />
「……一緒に、寝ないか？」<br />
　<br />
　青年は、軽くベッドを叩いてから、“彼”に手を伸ばした。<br />
　その手は、ぎりぎりで“彼”には届かない。“彼”は、青年に手を伸ばす代わりに、一歩分だけ、ベッドから離れたようだった。<br />
<br />
「……そうか」<br />
<br />
　予想していた反応だったけれど、青年は落胆して、伸ばした手をベッドへと力なく沈める。<br />
<br />
「お前が一緒に眠ってくれたら、いい夢が見られると思ったんだけどな」<br />
<br />
　そして、朝になってもお前がいなくならないように、捕まえておくことも出来るのに、と心の中でそっと囁く。<br />
<br />
「なぁ、お前は、誰なんだ……？」<br />
<br />
　青年は請うように、“彼”に問う。<br />
　<br />
　どうしていつも、会いたいと思うのか、わからない。<br />
　それでも、“彼”と会えない時は会いたいという想いだけが湧き上がってきて、どうしようもなくなる。<br />
　そして会っている時は、ただ、幸せとしか感じられなくなる。<br />
<br />
　一体、“彼”は何者なのだろう？<br />
<br />
　彼は、口を開くことなく、青年の頭の中に音のない言葉を送り込んできた。<br />
<span style="color:#33FFFF"><div style="text-align:center"><br />
　『夢ハ、誰カカラ魅セラレル物デハナクテ、<br />
　自分デ、魅続ケルモノ』</div></span><br />
<br />
　謎かけのようなその言葉に、やはり声はなかった。<br />
　それは頭の中に直接流れ込んでくる文字列でしかなかった。<br />
<br />
「お前の声が、聞きたいよ」<br />
<br />
　一言でもいいから、声が聞きたい。<br />
　いや、本当は、一言なんて言わずに、“彼”の声を耳へと誘いながら、言葉を沢山交わしたい。<br />
<br />
　そして出来れば、伸ばした手を取ってほしい。<br />
<br />
　会えない時は、「一目会えるだけいい」と思うのに、いざ会えてしまえば、何故こうやって次々に新たなものを欲してしまうのだろう。<br />
　会えるだけで幸せだと満足出来てしまえば、この瞬間に寂しさを感じることなどないのに。<br />
　つい先ほどまで、“そばにいられれば、ただ幸せだ”と思っていたというのに。<br />
<br />
　声が聞きたいだとか、<br />
　言葉を交わしたいとか、<br />
　触れたいだとか、<br />
<br />
　そんなことを願いさえしなければ。<br />
　また会えたことだけを、幸せだと感じられれば、こんなにも胸の奥を鈍い痛みが走ることなどなかっただろうに。<br />
<br />
「……悪いな。我侭ばかり言って。けど、さ……」<br />
<br />
　次第に重さを増す目蓋に抵抗しながら、青年はひたすら、“彼”の姿を目に捉え続けた。<br />
<br />
「もう、独り寝は、嫌なんだよ……」<br />
<br />
　やがて、強烈な睡魔に負けてしまうまで。<br />
<br />
　　＊<br />
<br />
　人ノ記憶ガ儚イトイウノナラ、ドウカ、<br />
　残サレタ俺ノ記憶ヲ喰ライ尽クシテオクレ<br />
<br />
　　＊<br />
<br />
　まるで、タイムスリップしたかのようだった。<br />
　つい先程まで自分の周りは闇が横たわっていて、自分の目には愛しい“彼”の姿だけが、見えなくても目に映っていた筈なのに、ほんの一瞬目を閉じたら、窓の外では光が満ち溢れていた。<br />
<br />
　青年は、呆然として、何も考えられず、酷過ぎる頭痛で感覚が麻痺して少しも痛みも感じていなかった。<br />
<br />
　何故、こんなにも早く朝が来てしまったのだろう。<br />
　何故、目を閉じてしまったのだろう。<br />
　一体今までなんの為に、太陽のでる間に寝て、夜に起きていたのだろう？<br />
　ただ、“彼”に会いたいという、それだけの為に生きているのに、あんなに短い時間しか傍にいられなかったなんて。<br />
<br />
　次は、一体いつ会えるのだろう？　<br />
　<br />
　“彼”の姿を視界から失うたびに、青年の魂は気づかないうちに荒廃していた。青年は気づいていなかったけれど、“彼”と会い、そして別れるたびに、青年の瞳から生気が失われていた。<br />
<br />
　青年が頭を抱えていると、いつも日中になるとやってきて青年の眠りを妨げていた小鳥が、今日も窓辺にやってきて、チュンチュンと鳴いていていた。<br />
　小鳥の声と共にガンガンと頭を叩かれるように、麻痺した感覚の更に上を行く鋭い痛みに襲われる。<br />
　いつもなら窓を開けてやったのだけれど、青年は小鳥の声に憎しみしか覚えられなかった。<br />
<br />
　うるさい。<br />
<br />
　うるさいうるさいうるさいうるさい。<br />
　うるさいうるさいうるさいうるさい。<br />
　<br />
<strong>　うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい　<span style="color:#FF0000">ロ</span>　うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい　<span style="color:#FF0000">ロ</span>　　うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい　<span style="color:#FF0000">ズット</span>　　うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい　<span style="color:#FF0000">待</span>　　うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいう　<span style="color:#FF0000">タ</span>　　るさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい　<span style="color:#FF0000">セ</span>　　うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい　<span style="color:#FF0000">テ</span>　　うるさいうるさいうるさいうるさい　<span style="color:#FF0000">ゴ</span>　　うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいう　<span style="color:#FF0000">メ</span>　　るさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい　<span style="color:#FF0000">ン</span>　　うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい　<span style="color:#FF0000">ナ</span>　　うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい　<span style="color:#FF0000">会</span>　　うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい　<span style="color:#FF0000">イ</span>　　うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい　<span style="color:#FF0000">タ</span>　うるさいうるさいうるさいうるさいうる　<span style="color:#FF0000">イ</span>　さいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい</strong><br />
<br />
<span style="font-size:220%"><strong><br />
「黙れっ！！」</strong>　</span><br />
<br />
　無意識の更に下にある感情を知らないうちに爆発させて、窓に向かって青年が怒鳴ると、小鳥は鳴くのをやめ、何処かに飛び立っていった。<br />
　しばらく、青年は肩で荒い息をしてから、<br />
<br />
「何をやってるんだ。俺は……」<br />
<br />
　何の罪もない小鳥に怒鳴ってしまったことに、青年は自己嫌悪を覚えた。<br />
　自分に毎日会いにきてくれていた唯一の生き物を、青年は追い払ってしまったのだ。<br />
<br />
<br />
<br />
　その翌日。青年はずっと待っていたけれど、小鳥はやってこなかった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
続きます。<br />
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<br />
<br />
<br />
]]> 
    </content>
    <author>
            <name>No Name Ninja</name>
        </author>
  </entry>
  <entry>
    <id>rolo.blog.shinobi.jp://entry/85</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://rolo.blog.shinobi.jp/%E3%83%AD%E3%83%AD%E3%83%AB%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%83%AD/%E9%9D%92%E5%B9%B4%E7%B7%A8%EF%BC%88%EF%BC%94%EF%BC%89" />
    <published>2009-05-27T22:50:36+09:00</published> 
    <updated>2009-05-27T22:50:36+09:00</updated> 
    <category term="ロロルルロロ" label="ロロルルロロ" />
    <title>青年編（４）</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[　<br />
<br />
<br />
<br />
　今まで、何を食べてきたのか忘れていたとしても、<br />
　生きている限り、食べなかったことにはならない。<br />
<br />
<br />
<div style="text-align:center"><span style="font-size:220%"><br />
青年編（４）</span></div><br />
<br />
<br />
<br />
　また、“彼”と会えない日が続いた。<br />
　太陽の光がある時は眠り、夜に起きる。その生活を青年は続けていたが、やはり昼になると、毎日やってくる小鳥の鳴き声で一度、目が覚めてしまう。<br />
<br />
　この日も、チュンチュン、といういつもの声で、青年は目を覚ました。　<br />
　すでに恒例行事と成り果てた頭痛に悩まされながらも、青年は立ち上がる。窓辺に歩み寄って、しばらくは忌々しげに小鳥を見おろしていたが、やがて頭痛が治まってくると、小鳥を見る瞳は優しげに細められた。<br />
<br />
「お前だけだよ、俺に毎日会いに来てくれるのは」<br />
<br />
　ぽつりと思わず、本音を言ってしまう。<br />
　会いたい、会いたい、と毎日のように渇望するのは、あまりにも苦しい。日々魂を切り刻まれるほどの想いをしているというのに、“彼”はほんの少ししか、青年の心に答えてはくれないのだ。<br />
　小鳥は鳴きながら、つぶらな目でじぃ、と窓越しに青年を見上げてくる。<br />
<br />
「……何か、食べたいのか？　少し待ってろ」<br />
<br />
　青年は厨房に行き小さなパンを手にとると、すぐに客間へと戻った。<br />
　窓を開けてやると、小鳥はすぐに隙間から体を入れてきて、羽を広げて青年の肩に飛び乗った。<br />
　よく人に慣れている。<br />
　何処かで飼われていたことがあるのかもしれない。<br />
<br />
「お前<strong><span style="color:#FF0000">も</span></strong>、迷子なのか？」<br />
<br />
　小鳥の小さな頭に人差し指で触れてみるが、小鳥は嫌がるそぶりを全く見せなかった。青年がパンを手で細かくしてから両手に広げると、小鳥は青年の手に着地して、食事を始めた。<br />
<br />
「……何も食べてなかったのか……？」<br />
<br />
　小鳥がその小さな体に似合わず凄まじい勢いでパン屑をむさぼるので、青年は半ば感心して言った。今、生気の欠片もない青年にとって、小鳥の食べっぷりは、生き物のみずみずしい生命力を見せ付けられているようだった。<br />
<br />
「……ん？」<br />
<br />
　青年は何かを思い出しそうになり……、<br />
　結局、何も思い出さなかった。<br />
　小鳥はパン屑を全て平らげてしまうと、そそくさと窓から出て、飛び去っていった。<br />
<br />
「……全く、薄情な奴だな」<br />
<br />
　手についたパン屑をゴミ箱の上で払いながら、青年は呆れ顔で言った。<br />
　しかし、<br />
<br />
「明日も、来るんだぞ」<br />
<br />
　ぽつりと、呟いた。<br />
　<br />
　そして、その夜も、やはり“彼”は現れなかった。<br />
<br />
　　　＊<br />
<br />
　そして、ある日。<br />
　この日の昼もまた、小鳥が来て、青年の手からパン屑をひたすら食べた後、窓から飛び去って行った。<br />
　パンの匂いが染みついた手を見ながら、<br />
<br />
「たまには、料理でもするか」<br />
<br />
　青年は呟いた。<br />
　小鳥の食べっぷりを見ていたら、何か食べたくなってきたのだ。最近まともなものを食べていない。それでも別に死にはしないだろうが、ここのところ精神的に疲れているし、料理をするのもいい気分転換になるかもしれない。<br />
<br />
　コックを何人雇っていたのだろうと考えてしまうような厨房に移動してから、青年は使う食器を丁寧に洗い始めた。使わないままずっと放置していたから、決して綺麗とは言えない状態になっていたからだ。<br />
　鍋に水を張り、コンロの上に乗せる。まだ火はつけずに、青年はシンクで食材を洗い始めた。静かな厨房に、ざぁっ、という流水音が響く。<br />
　ととととと……、と、材料をリズミカルに切る音をさせてから、青年はまな板を持ち上げて――、そのまま、<br />
<span style="font-size:220%"><br />
「ほあぁっっ！？」</span><br />
<br />
　硬直した。いつの間にか鍋に入っていた小鳥と目があったのだ。<br />
　青年は呆然としながら、まな板を置く。<br />
　頭が真っ白になる中、チュン、という小鳥の鳴く声で我に返って、<br />
<br />
「馬鹿かお前はっ！　ゆでられたいのか！」<br />
<br />
　鍋の中で悠々としている小鳥に怒鳴った。<br />
　気づかずに蓋をして火をつけていたらと思うとぞっとする。<br />
　小鳥は青年の声など意に介さず、水を楽しんでいるようだった。<br />
<br />
「全く、いつの間に入ったんだ」<br />
<br />
　青年は切ってしまった材料を見てから、鍋（小鳥入り）を見る。<br />
<br />
　小鳥には、しばらく鍋からどく気はなさそうだった。<br />
<br />
「もういい。好きなだけ入ってろ」<br />
<br />
　青年が言うと、小鳥は青年の言葉とは逆に、水から上がって、鍋の取っ手の部分に止まった。<br />
<br />
「入ってていいと言……」<br />
<br />
　小鳥が突然姿勢を低くして、青年は激しく嫌な予感がした。そう思うなら離れるなり何かすればよかったのだが、青年は反応しきれなかった。<br />
<br />
「ほぁぁっ！？」<br />
<br />
　取っ手に止まったまま大きく羽ばたいた小鳥の羽から飛んできた大量の水滴を顔面に浴びながら、青年は本日の2度目の素っ頓狂な声をあげた。<br />
<br />
<br />
　そしてまた、ある日。<br />
<br />
「……そこはお前の巣じゃないんだぞ」<br />
<br />
　青年はソファに座ったまま、低い声で言った。<br />
　青年の頭の上では、いつもやってくる小鳥が羽を休めている。パン屑を毎日与え続けた結果がこれだった。最初は餌を食べたらすぐに去っていたのに、最近ではこうして居座っているのだ。青年が眠るまでは何処にもいかず、夜に青年が目を覚ますといなくっている。<br />
　青年が咎めても、小鳥は頭の上から全く動かずにくつろいでいた。<br />
<br />
「ほら」<br />
<br />
　青年が人差し指を横に伸ばすと、小鳥は心得たとばかりに、青年の指に止まった。<br />
<br />
「お前に好かれてもな……」<br />
<br />
　青年は、夜の闇を思い浮かべる。毎夜毎夜、“彼”の姿を探しているというのに、“彼”は姿を見せない。相変わらず、青年の元を訪れるのは、この小鳥だけだった。<br />
　<br />
　どうして、会いに来てくれないんだ。<br />
　そう思うと同時に、日を追うごとに、ある疑問が青年の中で頭をもたげてきた。<br />
　どうして、俺は、“彼”に会いたいと思うのだろう、と。<br />
　そう疑問に思う心はあるのに、“彼”に「会いたい」という想いが沸き出てくるのが抑えられない。<br />
<br />
「どうして、会いたいのか、わからないんだよ……。お前、わかるか？」<br />
<br />
　無駄だとわかっているのに、思わず尋ねてしまう。小鳥はじぃ、と青年を見ているだけだった。<br />
<br />
「そうだよな」<br />
<br />
　たとえ目の前にいるのが小鳥ではなくて人間だったとしても、返答に困っただろう。<br />
　自分ですら、何故“彼”に会いたいと思うのか、全くわからないのだから。<br />
<br />
<br />
<br />
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]]> 
    </content>
    <author>
            <name>No Name Ninja</name>
        </author>
  </entry>
  <entry>
    <id>rolo.blog.shinobi.jp://entry/82</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://rolo.blog.shinobi.jp/%E3%83%AD%E3%83%AD%E3%83%AB%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%83%AD/%E9%9D%92%E5%B9%B4%E7%B7%A8%EF%BC%883%EF%BC%89" />
    <published>2009-05-24T15:42:47+09:00</published> 
    <updated>2009-05-24T15:42:47+09:00</updated> 
    <category term="ロロルルロロ" label="ロロルルロロ" />
    <title>青年編（3）</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[　<br />
<br />
<br />
　大切な約束は、いつまで経っても果たされない。<br />
　その絶望が、身体を、魂を、蝕ばんでいく。<br />
<br />
　何故求めているのか、それすらもわからずに、ただ、「何か」と「誰か」を求め続ける。<br />
<br />
　骨の軋む痛みの叫びが闇の中には映し出すのは、果たして悪夢か安らぎか。<br />
<br />
<br />
<br />
<div style="text-align:center"><span style="font-size:220%">青年編（３）</span></div><br />
<br />
<br />
<br />
　青年の眠りはとても浅かった。<br />
　深い眠りの底へと落ちるのはほんの一瞬。<br />
　そのとても短い短い時間の間、青年は眠りの一番深い場所で、必ず同じ言葉を、同じ声で聞いていたのだけれど、青年は目を覚ますと、その声も、言葉も忘れていた。<br />
　夢の底で、<br />
<br />
「兄さん」<br />
<br />
　その大切な言葉は、<br />
　その甘やかな声は、<br />
　ずっと置き去りにされ続けていた。<br />
<br />
　その声を、言葉を聞いた瞬間、素直に嬉しいと思った、その気持ちと一緒に。<br />
<br />
　　　＊<br />
<br />
　目を覚ますと、青年は客間のソファーで横になっていた。<br />
　視線を感じて窓の外を見やれば、昼の光を浴びた小鳥が窓辺に止まっているのがガラス越しに見える。小鳥が物欲しそうに青年を見ているので、<br />
<br />
「餌はやらないぞ」<br />
<br />
　と、青年は頭に鈍い痛みを覚えながら、大儀そうに伸びをして言う。壁にかかる時計を見れば、短針は思った通りの数字を指していた。<br />
　辺りを見回せば、昨日やって来たばかりのよそ者に、家具たちがそっぽを向けているようだった。昨夜は暖かく出迎えてくれた気がしたのに……と、疎外感を覚えながらも、青年は立ち上がり、客間を出る。<br />
　静まり返ったロビーに立って、昨日と同じように階段を見上げたけれど、そこには誰もいなかった。<br />
　瞳を閉じてみても、誰の気配も感じない。<br />
　だが、昨夜、青年は確かに、屋敷の主人――“彼”と会ったのだ。<br />
　“彼”と出会ってから自分が何をしたのか、どうして客間で寝ていたのかまでは覚えていないが、“彼”は、確かに存在した筈なのだ。<br />
<br />
「……夜にならないと、会えないのか？」<br />
　<br />
　一人でそう口にしても、誰も答えるわけがない。<br />
<br />
　……このまま起きていても何も起きない。<br />
　夜にならなければ、屋敷の主人は現れない。<br />
　それなら。<br />
<br />
「……夜まで寝るか……」　<br />
<br />
　そう言って、青年は再び客間へと戻った。<br />
　“彼”に会えないなら、起きていても仕方がない。<br />
　客間の窓の外側にはまだ小鳥が止まってこちらを見ているので、青年は　その視線を遮断する為にカーテンを下ろした。<br />
　チュンチュン、と気持ちよさそうに小鳥の鳴く声は、外を出歩くのにいい日和だということを教えてはいたが、青年にとっては“彼”と再び会うことだけが、何よりもの優先事項だった。<br />
　どうせ、眠りが浅くて起きているのか寝ているのか分からないような毎日なのだ。夜まで眠り続けたところでいつもと変わりはしないだろう。<br />
<br />
　　　＊<br />
　　<br />
　ズット、待チ望ンデイタ。<br />
　「何カ」ガ起キルノヲ。<br />
　「誰カ」ト出会エルノヲ。<br />
<br />
　　　＊<br />
<br />
　頭の痛みで青年が目を覚ますと、周りに横たわっていたのは暗闇だった。<br />
　顔を顰めながら頭に手を当てていると、それをあざ笑うかのように、ロビーから日付変更を知らせる柱時計が低い音を響かせて、青年の頭を揺さぶる。<br />
　青年は呻きながら、何も見えない暗闇の中、手探りで扉を開けた。<br />
　ロビーを照らす十六夜の月の光すら眩しく感じながら、青年は昨夜“彼”が立っていた場所を見上げるが、そこに“彼”はいなかった。<br />
<br />
「……何処だ？」<br />
<br />
　青年は階段を見上げながら言う。<br />
　その問いに答えるのは静かな月明かりだけで、他に返答者はいない。<br />
　青年はふと、懐中電灯を持っていないことに気づいたが、この月明かりなら問題ないだろうと判断して、階段を見上げ続ける。<br />
<br />
「姿を見せてくれ。お前に会う為に、この屋敷を買ったんだ」<br />
<br />
　ずっと、待ち望んでいた。「何か」が起きるのを。「誰か」と出会えるのを。<br />
　その為だけに、この屋敷を手に入れたのだ。<br />
　昨夜ようやく会えたのに、もう会えないなんてことは、ありえない筈だ！<br />
<br />
「姿を見せてくれ。……頼む」<br />
<br />
　青年が懇願するように言うと、<br />
<br />
<br />
<span style="color:#33FFFF"><div style="text-align:center">『姿ガナイノニ、ドウヤッテ見セレバイイノ？』</div></span><br />
<br />
<br />
　昨夜と同じ、音のない言葉が、青年の頭の中に流れ込んできた。声は分からない。けれど、青年を嘲笑うかのような響きがあった。しかし青年はそれに笑みを浮かべた。<br />
　確かに、“彼”の姿は見えないが、たった今、階段の上に“彼”が「現れた」のがわかったからだ。姿が見えなくても分かる。青年より若干低い身長に、華奢な体躯。そんな“彼”の輪郭だけが、青年には分かった。<br />
　会えた。よかった。また、会えた。<br />
<br />
「姿が見えなくても、お前がそこにいるのはわかるさ」<br />
<br />
　青年は、優しい微笑を浮かべた。<br />
<br />
<br />
<span style="color:#00FFFF"><div style="text-align:center">『ソウナンダ』</div></span><br />
<br />
<br />
　“彼”の無関心な感情が流れ込んでくる。“彼”がいなくなってしまうのではないかと、青年は内心焦りながら、だがそれを表情に出さないように自制する。<br />
<br />
「お前と一緒にいられるなら、なんでもする。……何をすればいい？」<br />
<br />
　いなくならないでくれ、と本当は叫びだしたかった。だが、青年はあくまで平静を装って、訊ねる。<br />
<br />
<br />
<span style="color:#66FFFF"><div style="text-align:center">『ドウシテ、ソンナニ、僕ト一緒ニイタイト思ウノ？』</div></span><br />
<br />
<br />
「俺は、お前に会う為に生きてきたからだ」<br />
<br />
　青年は“彼”の問いに即答した。<br />
　そう。ずっと待ち望んでいたからだ。「何か」が起きるのを。「誰か」と出会えるのを。その為に、今まで生きてきたのだ。<br />
　“彼”は、青年の答えにしばらくは何も言葉を返さなかった。<br />
　その沈黙に、青年の心臓が身を震わせる。<br />
<br />
　　――　頼むから、何でもするから、だから、一人にしないでくれ。<br />
　<br />
　長い間緊張状態を強いられた青年に、やがて、“彼”は条件を提示した。<br />
<br />
<br />
<span style="color:#33FFFF"><div style="text-align:center">『僕ト一緒ニイタイナラ、夜ノ住人ニナッテミセテ』</div></span><br />
<br />
<br />
　それだけを告げると、“彼”はいなくなってしまった。<br />
<br />
　　　＊<br />
<br />
　ズット、待チ望ンデイタ。<br />
　「何カ」ガ起キルノヲ。<br />
　「誰カ」ト出会エルノヲ。<br />
　ソシテ<br />
<br />
　　　＊<br />
<br />
　いなくなってしまった“彼”を青年は狂ったように探し続けたけれど、“彼”は見つからなかった。<br />
<br />
　だから、青年は“彼”に言われた通りに、した。とにかく、なんとしてでも、一日も早く“彼”に会いたかったのだ。<br />
　青年は、昼に眠り、夜に起きた。<br />
　昼間に小鳥が窓をつついたり鳴いたりするので、何度かただでさえ浅い睡眠を妨害されたけれど、青年は夜の住人になる為に、昼は眠り、夜に起きる日々をひたすら繰り返した。<br />
<br />
　そうやって、青年は“彼”が再び姿を見せてくれる日を待ち続けた。乾ききって焼け爛れてしまった喉の痛みに耐えながら、水を求めるように。<br />
<br />
<br />
　　　＊<br />
<br />
　止マッテイル時間ガアルノナラ、約束ヲ果タス方法ヲ、探セバイイ。<br />
　分カッテイル。<br />
　分カッテイル。<br />
　分カッテイルンダ。<br />
　ケレド、モウ、前ニ、進メナカッタ。<br />
<br />
　　　＊<br />
<br />
　会いたい、会いたい、会いたい……と思い続けて。<br />
　日に当たる事を止め続けた青年の肌が、月の光と同色になった頃。<br />
　月明かりに照らされながら、長い間形を変えることのなかった青年の唇が、微笑みの弧を描いていた。<br />
　満月に照らされたロビーの中央で、青年は目の前にいる“彼”を見つめていた。何も見えないのだけれど、“彼”がそこにいることは確かにわかる。<br />
　“彼”の頬に触れようと手を伸ばすと、指先に何も感じなくても、そこにいる“彼”に触れているのがわかった。<br />
<br />
「……ずっと、待ってたんだ」<br />
<br />
　――　会いたかった。本当に会いたかったんだ。<br />
　<br />
　涙は流せなかったけれど、あまりの嬉しさに涙を流したい気持ちになりながら、青年はやまない頭痛の中、懸命に微笑んだ。<br />
<br />
　　　＊<br />
<br />
　ズット、待チ望ンデイタ。<br />
　何故、コンナニモ望ンデイルノカ、知リモセズニ、<br />
<br />
　　　＊<br />
<br />
　そしてまた、太陽が昇るとともに眠り、夜の闇で起きる日が、続いた。<br />
　目を覚ませば必ず“彼”の姿を探すのだけれど、暗闇の中で“彼”の姿を見つけられるとは限らなかった。<br />
　夜の中でたった一人、“彼”を待ち続け、朝になってしまう日の方がむしろ多かった。“彼”は猫のように気まぐれなのだ。<br />
<br />
　――　一緒にいたかったから、夜の住人になったというのに。<br />
<br />
「会いたいんだよ……」<br />
<br />
　涙の流し方を忘れた青年が、声を震わせて言った。<br />
　しかし一人で過ごす夜の数がどんなに増えても、一筋も涙は流れないのだった。<br />
<br />
　昼に一度起きてしまうと、今日もまた、小鳥が窓の外で鳴いていた。<br />
<br />
<br />
　　＊<br />
<br />
　タダ、会エレバイイ。<br />
　ソレダケナノニ、何故コウモ会エナイ日々ニ苦シマナケレバイケナイ？<br />
<br />
　ソノ答エハ、本当ハモウ、知ッテイル筈ナノダ。<br />
<br />
<br />
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<a href="http://rolo.blog.shinobi.jp/Entry/1/"><u>戻る</u></a>]]> 
    </content>
    <author>
            <name>No Name Ninja</name>
        </author>
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    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://rolo.blog.shinobi.jp/%E3%83%AD%E3%83%AD%E3%83%AB%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%83%AD/%E9%9D%92%E5%B9%B4%E7%B7%A8%EF%BC%88%EF%BC%92%EF%BC%89" />
    <published>2009-05-17T21:09:44+09:00</published> 
    <updated>2009-05-17T21:09:44+09:00</updated> 
    <category term="ロロルルロロ" label="ロロルルロロ" />
    <title>青年編（２）</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[　<br />
<br />
<br />
　止まっていたくない。<br />
　歩みを止めたくない。<br />
　あまりに強すぎるその願いこそが、脚を絡めとり、地に縛り付けていた。<br />
<br />
<br />
<br />
<span style="font-size:220%"><div style="text-align:center">青年編（２）</div></span><br />
<br />
<br />
<br />
　普通の人間なら、「怖い」と感じるのだろうか？<br />
　歩くのは、冷え切った廊下。<br />
　窓の外を支配するのは、月の姿も、星の瞬きもない夜の帳。<br />
　響くのは自分の足音と、時折窓の外で不気味に渦巻く風の声。その声が止まれば、自分の鼓動の音すら聞こえてきそうな静寂。<br />
　そして、この屋敷に自分以外の「人間」は一人しかしない。<br />
<br />
　青年は、購入した屋敷を歩いていた。<br />
　「出る」なら「出て」みろと、手にした懐中電灯以外の灯りはわざわざ全て落としている。しかし、何も「出て」こない。<br />
　玄関の扉を開けた瞬間に、何かが「お出迎え」してくれるのではないかと実は内心期待していたのだが、屋敷に入ってから今まで、何も起きてはいない。入っただけで身の毛がよだつとか、何処から視線を感じるとか……、そんなことがあると思っていたのだが。<br />
<br />
　――売買契約が済んでから、屋敷の引渡しまでの間、屋敷で何かが「出迎え」てくれるのだけを楽しみにしていたというのに――<br />
<br />
　青年は玄関、ロビー、客間、ダイニング……と一階の部屋を回ってから、再びロビーへと戻ったが、何にも「会う」ことはなかった。<br />
何も出てこないじゃないか、と溜息をつきながら、青年は懐中電灯の明かりをロビーに生える柱へとやった。<br />
　これ一本だけを美術館が欲しがる、という話もあながちで嘘ではないだろう、と頷きたくなるような意匠が施された化粧柱だった。その後ろには、二階へと向かう階段が見える。階段の手すりの側面にも、精密な装飾が施されている。階段の奥には吹き抜けの天井へと縦に長く伸びる窓が見えた。<br />
　青年は少し考えてから、二階へと向かうことにした。一人で住むには、この屋敷はあまりに大きすぎる。二階にはプライベート用の個室がいくつも並び、さて、明日から部屋をどう使うか……と青年は頭を捻る。<br />
　青年にしては珍しく後先考えずに行動してしまったのだ。とにかく、「何か」が起こりそうなこの屋敷が手に入ればそれでいい、と、それしか考えていなかった。<br />
　この屋敷を一人で掃除したら、それだけで一日が終わる。かといって人を雇いたくはない。使う部屋以外は、掃除するのは諦めるしかないか……と、既に何かが「出て」くるかもしれないなんてことも忘れて、青年は懐中電灯を手に、二階の部屋を全て見て回った。　<br />
　途中、ピアノが置いてある部屋があったが、青年がいくら待てども待てども、勝手に音が奏でられることはなかった。肖像画も至って普通で、目は動かないし、口を開くこともない。<br />
　何事も起きない中、少しぐらい不気味なことが起きたっていいだろう、と、青年は再び深い溜息をつきながら、階段を下りていく。<br />
　月を覆っていた雲がいつの間にか通り過ぎていったのか、窓からは静謐な月明かりが入り込んできていた。<br />
<br />
　――やはり、「何も」、起きないのか――<br />
<br />
　「何も」起きない巨大な屋敷に一人きり。<br />
　最初から「何も」期待しなければ、寂しさなど感じなかったのに。何故期待してしまったのだろう、と軽い自己嫌悪に陥りながら、青年は階段を降りると、俯きながらロビーへと歩を進めた。<br />
<br />
　――そうだ、「何も」起きないって、わかっていたじゃないか―<br />
<br />
　コレカラモ、イツマデモ、「何モ」起キルコトナンテナイ<br />
　<br />
　青年は立ち止まった。<br />
<br />
　これからも、いつまでも、「何も」起きることなんてない。<br />
　いつまでも。<br />
　いつまでも。<br />
　いつまでも。<br />
　「何も」起きはしない。<br />
<br />
　焦点をぼかしたままの青年の瞳が、生気を失っていく。<br />
　先ほどまで、「出られる」もなら「出て」みろと意気込んで、屋敷を歩き回っていたのとは別人のようだ。<br />
<br />
　「何モ」、起キナイ。<br />
　イツマデモ。<br />
<br />
　「何か」起きて欲しい、と、後先考えずにこんなに巨大な屋敷を購入したというのに。<br />
<br />
「もう、何も起きはしないんだ……」<br />
<br />
　青年は、ぽつりと口にした。<br />
　音にしてしまうと、それが真実になってしまったような気がしてしまう。それならば、もう一度言葉にしてまおうか、と青年は思った。<br />
　そうしたら、今度こそ、諦められるかもしれない。<br />
　「何も」起きないのだと。<br />
<br />
「いつまでも、何も起きはしないんだ……っ……！！」<br />
<br />
　青年が絶叫のような声で言った時、<br />
<br />
<br />
<div style="text-align:center"><span style="color:#66FFFF"><strong>『本当ニ？』</strong></span></div><br />
<br />
<br />
　答える声は、なかった。<br />
　けれど、直接文字が頭に流れ込んでくるように、その言葉が確かに“聞こえた”。<br />
　青年はびくりとして顔を上げるが、視界には「誰も」映らない。<br />
　しかし、初めて来た筈の、つい先程まで何も感じなかった筈の屋敷が、何故かとても懐かしく暖かいものに感じた。まるで、昔、家族と共に過ごした家のように。<br />
　青年は、ゆっくりと振り向いた。<br />
　窓の外には白く大きな満月が浮かび、階段を照らしている。<br />
　青年は、階段の方を見上げたまま目を見開き、やがて――、微笑んだ。<br />
<br />
「お前が、この屋敷の主人か」<br />
<br />
　青年の視線の先には、「誰も」いない。けれど、青年にはわかった。満月を背にして、そこに屋敷の主人が立っているのが。<br />
<br />
<br />
<div style="text-align:center"><span style="color:#66FFFF"><strong>『ソウダヨ』</strong>　　</span></div><br />
<br />
<br />
　再び、声のない言葉が頭に流れ込んできて、青年は、<br />
<br />
「会えて、本当に嬉しい」<br />
<br />
　屋敷の主人に向けて、とろけてしまいそうな微笑を浮かべた。<br />
　<br />
　ずっと待ちわびていた。<br />
　「何か」が起きるのを。<br />
　「誰か」と出会えるのを。<br />
<br />
<br />
　<a href="http://rolo.blog.shinobi.jp/Entry/82/"><u>青年編（3）へ</u></a><br />
　<a href="http://rolo.blog.shinobi.jp/Entry/1/"><u>戻る</u></a>]]> 
    </content>
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            <name>No Name Ninja</name>
        </author>
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    <id>rolo.blog.shinobi.jp://entry/80</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://rolo.blog.shinobi.jp/%E3%83%AD%E3%83%AD%E3%83%AB%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%83%AD/%E9%9D%92%E5%B9%B4%E7%B7%A8%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%89" />
    <published>2009-05-17T21:09:06+09:00</published> 
    <updated>2009-05-17T21:09:06+09:00</updated> 
    <category term="ロロルルロロ" label="ロロルルロロ" />
    <title>青年編（１）</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<br />
<br />
<br />
　「何か」の為に、<br />
　「誰か」の為に、<br />
　進むしかなかった。<br />
<br />
<br />
<div style="text-align:center"><span style="font-size:220%">青年編　（１）</span></div><br />
<br />
<br />
　ありふれた話ではあった。<br />
　その屋敷に立てかけられた肖像画に描かれた少女の目が動くとか、誰も触れていない筈のピアノが勝手に音を奏でるだとか。<br />
　その屋敷に住んだ者はロクな死に方をしないだとか、冷やかしに泊まりに行った者が呪いとしか思えないような奇病にかかっただとか。あまりに不気味だからと取り壊そうとしたら、大事故が起こっただとか。<br />
<br />
　よくある話ではあるし、当事者でなければそんな話は笑い飛ばしてしまえるのだけれど、早急に土地と屋敷を売って金にしてしまいたい人間にとっては、笑うどころか冷や汗ものの話だった。噂に流れている悲惨な事件・事故のいくつかは本当のもので、つい最近まで警察が出入りしていことは、相当の人間が知っていたからだ。<br />
　貸金の担保としてその土地と屋敷に抵当権を設定したのは良かったものの、ホラーな事件が続いたせいで、競売前には、その土地と屋敷の評価額がガタ落ちしていた。血みどろの過去がまとわりついたその屋敷は、深い森の奥にある。交通の便も悪い上に、おぞましい死があったとなれば、当然のことではあった。<br />
　ただでさえ、ドッペルゲンガーに襲われるなんていう噂も流れていたというのに。<br />
　昔は、クローン＝禁止なんて時代もあったらしいが、今は手続きを踏んで資格さえ得れば（その資格を取るのが難しいのだが）、極めて安全に確実にセルフクローニングだって出来る御時世だ。そんな科学万歳な時代でも、未だに、人ならざるものの陰は、人の恐怖を引きずり出してしまう。<br />
　それでも、早く金に代えてしまいたかったので、屋敷の抵当権を持つその女性は、ホラー屋敷と土地を急いで競売にかけた。自分としても、縁起の悪すぎるものにいつまでも関わってはいたくなかったのだ。<br />
<br />
　さて。<br />
　そうやって、競売が開始されたわけだが。<br />
　意外にも競売に人は集まっていた。由緒ある様式で建てられ、しかも保存状態のよい洋館となれば、ホラーな噂がたっていても欲する人間はいたのである。ただし勿論、購入する時はそれ相応の値段で、ではあるが。<br />
　どれほど安い価格になってしまうのだろうと（本来なら高値な屋敷だというのに！）、競売会場の隅で抵当権者の女性が震えていたところ、彼女の心配は杞憂に終わった。<br />
　競売の司会を務める男性が、競売開始の値段を告げた瞬間、一人の青年が立ち上がって、競売開始値段を三倍してからゼロを二つ付け加えた値を口にしたのである。<br />
<br />
　会場中の視線が、青年へと集まった。<br />
<br />
　すらりと背の高い青年の紫色の瞳は真っ直ぐに司会者を見据え、冗談を言っているような様子は全くなかった。<br />
　静まり返った競売会場で、<br />
<br />
「よろしいのですか」<br />
　<br />
　と、この道数十年の司会者が、身を乗り出して尋ねる。青年は男性を見上げたまま、何も言わずに頷いた。<br />
　司会の男性はこれ以上の値をつける者などいないとわかっていながら、「他の方！！」と慌てて値段も言わずに声を裏返らせ、会場を見回した。<br />
<br />
「いませんか！　他の方！　他の方！」<br />
<br />
　手を上げる者など、いるわけがなかった。<br />
　<br />
　競売は開始二分で、ありえない値段がついて終わったのである。<br />
<br />
　更に青年は、契約の際、競売会場を一瞬にして黙らせた金額を、現金一括で払って関係者を再び驚かせた。青年は見ようによっては未成年にも見えるのだが、青年の持つ空気は、それを口にすることすら許さなかった。<br />
<br />
　こうして、青年は、いわくつきの屋敷と建物を手に入れたのである。<br />
<br />
　　　＊<br />
<br />
　青年は帰りのタクシーの中で、外をぼんやりと眺めながら、競売のことを思い出していた。<br />
　かつての青年であったら、競売の駆け引きを楽しんだかもしれない。<br />
　じりじりと上がっていく金額、頭をよぎって行く相当の評価額。そして、自分の利用目的、ライバル達の利用目的……。そんなものを総合して、如何に、競売で「勝つ」か。ぎりぎりの判断を、ゲームを興じるように。<br />
　しかし、今回は青年にそんな気力はなかった。<br />
　青年は、ホラー屋敷とその土地を手っ取り早く手に入れさえすれば、それで良かったのだ。そうするにはどうすれば良いか？　最初に周りを黙らせるほどの値を口にすればいい。ただそれだけの為に、青年は前代未聞の金額を提示した。青年の金は放っておいても増えるのに使われることがないから、有り余っていたのである。<br />
　屋敷と土地の支払いは済んだが、引渡しまでは少し時間がかかる。<br />
　<br />
　早く、ホラー屋敷で夜を過ごして見たいものだ、と、青年は窓に映る自分の顔を一瞥してから、目を細めた。<br />
<br />
<br />
<br />
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    </content>
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            <name>No Name Ninja</name>
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    <id>rolo.blog.shinobi.jp://entry/79</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://rolo.blog.shinobi.jp/%E3%83%AD%E3%83%AD%E3%83%AB%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%83%AD/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B0" />
    <published>2009-05-17T21:07:36+09:00</published> 
    <updated>2009-05-17T21:07:36+09:00</updated> 
    <category term="ロロルルロロ" label="ロロルルロロ" />
    <title>プロローグ</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<strong>注意</strong><br />
<br />
<br />
・途中からタグ使いが激しくなっていくので、携帯で読むと若干わかりにくいかもしれれません。<br />
・最初にホラーな空気が流れていますが、ホラーではありません。<br />
・ロロの出番が少ないですがロロへの愛だけはあります。<br />
・パラレル話です。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<div style="text-align:center"><span style="font-size:220%">或る青年の遠回り道<br />
―　FINAL TURN OF ......<br />
AND　HIS　SHORT　BREAK　―</span></div><br />
<br />
<br />
<br />
<div style="text-align:center"><span style="font-size:220%">＜プロローグ＞</span></div><br />
<br />
<br />
<br />
　ほんの少ししか、離れていないはずだった。<br />
　ほんの少し駆け寄れば、すぐにでも触れられる筈だった。<br />
愛しい姿はすぐ傍にあって、細められた瞳を縁取る睫毛の艶すらも、この目に確かに見えていたのに。<br />
<br />
　けれど、二人の間には、奈落の底まで誘う闇がぱっくりと口を開けていた。<br />
<br />
　傍に行きたいと願って、必ず何処かからたどり着けると信じて、<br />
<br />
「待っていて欲しい」<br />
<br />
　と告げて別れてから、<br />
　闇を渡る橋を探し続けれたけれど、その日々に終わりは来なかった。<br />
　<br />
　会いたいと願えば願うほどに、遠ざかっていく。<br />
<br />
　とても簡単で、シンプルなことしか願っていないのに、<br />
　それをかなえる為に、恐ろしい遠回りを続けていく。<br />
<br />
　会えない　会えない　会えない　会えない　会えない　会えない<br />
<br />
　何処までいけばいい？<br />
　何処まで、いつまで離れ続ければ、会える？<br />
<br />
　すぐに会えると思って、捨ててしまった欠片はもう戻らない。<br />
　一番大切なものの輪郭すら、ぼやけていく。<br />
<br />
　本当は、すぐにでも会う方法はあるけれど、それは許されない所業。<br />
<br />
　封印されたそれを解き放つことなく、会う方法を、ずっと、ずっと探していた。<br />
<br />
　けれど……、<br />
<br />
<br />
<br />
<a href="http://rolo.blog.shinobi.jp/Entry/80/"><u>青年編(1)へ</u></a><br />
<a href="http://rolo.blog.shinobi.jp/Entry/1/"><u>戻る</u></a>]]> 
    </content>
    <author>
            <name>No Name Ninja</name>
        </author>
  </entry>
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    <id>rolo.blog.shinobi.jp://entry/78</id>
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    <published>2009-03-22T20:12:44+09:00</published> 
    <updated>2009-03-22T20:12:44+09:00</updated> 
    <category term="ロロルルロロ" label="ロロルルロロ" />
    <title>ビー玉。</title>
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      <![CDATA[<br />
<br />
 <span style="font-size:220%">　 ビー玉。</span><br />
<br />
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<br />
　それは、ビー玉というらしい。<br />
<br />
　色とりどりのビー玉がガラス瓶いっぱいに詰められ、雑貨店の明かりに照らされて、きらきらと光っていた。<br />
　これから夕方を迎えようとしている曇りの寒空の下、ガラス板一枚隔てた向こうにあるカラフルなそれは別世界のもののようで、道を歩いていたロロは思わずショーウィンドの前で足を止めた。<br />
　年端も行かない自分の姿が、ショーウィンドに薄く映る。モノクロの背景では<span style="color:#FFFFFF">赤</span>いケープと帽子は不気味な色にしか見えない。<br />
　普通なら、あれがほしいこれがほしいと玩具売り場で親を困らせるような、そんな歳だったけれど、玩具が欲しいなんてロロは一度も思ったことはなかった。しかし、この時ばかりは、ロロの目は様々な色を放つまぁるいガラス玉に吸い込まれていた。<br />
　<span style="color:#FF00FF">ピンク</span>、<span style="color:#FFFF00">黄色</span>、<span style="color:#FF0000">赤</span>、<span style="color:#00CC33">緑</span>、<span style="color:#993399">紫</span>、透明、<span style="color:#00FFCC">エメラルド</span>、<span style="color:#336633">深緑</span>、<span style="color:#FFFF66">クリーム色</span>、それから……。<br />
　指の本数で数えたら両手では足りない程沢山の色があったのだけれど、ロロには、それらの色の名前がわからなかった。<br />
<br />
「……きれい」<br />
<br />
　ほしい、と思ったけれど、ロロはふと気付いて空を見た。<br />
　見上げる空からは段々と光が失われていく。<br />
　もし、ビー玉が入った瓶を店の外へと持ち出したら、今のように輝いてはくれないだろう。光に溢れたショーウィンドというふさわしい場所に在るからこそ、こんなにも魅力的なのだから。<br />
　自分のいる世界にあるべきものでは、ないのだ。<br />
　それに、ビー玉の沢山入った瓶なんて、絶対に他の連中に見つかる。そしたら何を言われるか。<br />
　ロロの睫毛が、下を向く。<br />
<br />
　でも。<br />
<br />
　あのビー玉一つ位なら、買って帰ってもいいのではないだろうか。一つぐらいなら隠せる。V.V.だってそれぐらいならいちいち何か言ってはこないだろう。V.V.の関心は、ロロがこれから赴く任務の結果だけなのだから。<br />
　いつもと同じだ。<br />
　殺して、帰って、報告。終わり。以上。<br />
　お金なら持っている。<span style="color:#33FFFF">水色</span>のビー玉を一つ、それぐらい………。<br />
　ロロが意を決して雑貨店に入ろうとショーウィンドウから目を離した時、自分と同じぐらいの子どもが、両親と共に店に入っていくのが見えた。<br />
　子どもは、陳列された数々の雑貨を、目を懸命に動かしながら、表情をころころと変えていく。雑貨店の暖かい明かりに照らされながら。<br />
　ロロは再びショーウィンドウを見た。自分が映るのは、分厚い雲の下にあるモノクロの世界。<br />
　ああ、やっぱり駄目だ。わかってたじゃないか。僕の世界に、あのビー玉を連れてきたら、違うものになってしまうって。モノクロと<span style="color:#FF0000">赤</span>。縁など存在せず、ただ任務だけがある自分の世界では。<br />
<br />
「……じゃあね」<br />
<br />
　ロロはショーウィンドウに向かって言って小さく手を振ると、その場をとぼとぼと去って行った。<br />
<br />
　　　＊<br />
<br />
　ビー玉なんて一個も買わないまま、年月は過ぎていった。<br />
　そのうち、ビー玉を欲しいと思ったことすら忘れてしまった。<br />
<br />
　　　＊<br />
<br />
「……ロロ？」<br />
　<br />
　ぼぅ、としていたら、突然ルルーシュに声をかけられて、ロロは驚いた。<br />
　何をやっているのだろう。暗殺者が対象の気配に気づかないなんて。<br />
　ルルーシュと生活し始めて数日なのだから、ルルーシュのことをもっとよく観察して、二人の生活に馴染むようにしなければいけないのに。<br />
<br />
「……これ、見てたのか？」<br />
<br />
　ロロの動揺など知るわけもなく、そう言ってルルーシュは、ロロの前にあったものを手に取った。<br />
　それは、ビー玉が詰められた瓶だった。<br />
　ロロとルルーシュがいる雑貨店には、他にもガラス細工や、きらびやかなアクセサリーが置いてある。それでも、色鮮やかなビー玉の入った瓶は、何故かロロの目を引いた。<br />
<br />
「……うん、綺麗だな、と思って」<br />
「気に入ったなら、買おうか？」<br />
<br />
　ルルーシュが瓶を持った手を顔の辺りまで上げて、微笑みながら言う。<br />
　うん、とロロは返そうとしたが、少し考えて首を横に振った。<br />
<br />
「大丈夫。……見てただけから」<br />
<br />
　僕が持ってても仕方ないよ。とは、その時は言わなかった。<br />
<br />
　　＊<br />
<br />
　やっぱりビー玉が欲しいな、と思ったのが、何があった後のコトだったのかは覚えていない。<br />
　覚えているのは、雑貨屋に走って行って、瓶を一つと、バラで売っていた<span style="color:#33CCFF">空色</span>のビー玉を一つ、買ったことだ。<br />
　ビー玉を瓶に入れて自室の窓辺に置いておくと、昼の光を浴びて、<span style="color:#33CCFF">空と同じ色</span>をベッドに座るロロに送ってくれた。<br />
　なんだ、やっぱり欲しかったんじゃないか、言ってくれれば俺が買ったのに、と部屋に入りながら言ってきたルルーシュには、うん、後で欲しくなっちゃったんだ、とロロは笑って返した。<br />
<br />
「どうせなら、セットになっているやつを買えば良かったのに」<br />
<br />
　そしたら、もっと沢山瓶に入れられただろう？　ビー玉一つだけじゃなくてさ、とルルーシュが言った。<br />
<br />
「それは、これから買うんだよ」<br />
<br />
　ロロが言うと、ルルーシュはそうか、と言ってロロの隣に座って、ロロの肩を抱いた。何をするわけでもなく、何を喋るわけでもなくそうしていながら、ロロは思った。<br />
<br />
　ああ。違う色の、ビー玉が欲しいな。<br />
<br />
　　＊<br />
<br />
　ルルーシュに、勉強を教えてもらった時。<br />
　――<span style="color:#33FF99">エメラルドグリーン</span>の、ビー玉が欲しいな。<br />
<br />
　ルルーシュと、一緒に料理をした時。<br />
　――<span style="color:#FFFF66">クリーム色</span>のビー玉が欲しいな。<br />
<br />
　ロロの乗る馬を、ルルーシュにリードして貰ったとき。<br />
　――<span style="color:#009966">モスグリーン</span>の、ビー玉が欲しいな。<br />
<br />
　ルルーシュと、シーツを使って遊んだ時。<br />
　――<span style="color:#FFCCCC">ローズピンク</span>のビー玉が欲しいな。<br />
<br />
　　＊<br />
　<br />
　日を重ねるごとに、ビー玉の数は増えていって、やがて瓶いっぱいになった。今日も窓辺で、瓶に詰めたビー玉達は陽光を浴びてそれぞれの色を放っている。ビー玉の数だけ、色の数があった。かつて小さなロロがショーウィンドウ越しに見た、ビー玉達の様に。しかし、部屋の中からそれらの光を見ているロロが、幼い日のことを思い出すことはなかった。<br />
<br />
「いっぱいになったな。……次の瓶を買いに行こうか？」<br />
<br />
　ルルーシュの問いに、ロロは満面の笑みを浮かべて答えた。<br />
<br />
「やめとく。……多分、すぐに瓶が一杯になって、部屋が瓶だらけになっちゃうから」<br />
<br />
<br />
<br />
　終わり。<br />
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            <name>No Name Ninja</name>
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