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色々注意書き。
* ロロのギアスが暴走したという話。
* ギアスについてある人と話をしていた時、こういうことも有り得るんじゃないか…ということで話に上がったロロルルロロの結末ネタです。(死ネタではないです)
*ルルーシュが、ロロのことを大好きです。(ロロ←ルル)
* ロロのギアスが暴走したという話。
* ギアスについてある人と話をしていた時、こういうことも有り得るんじゃないか…ということで話に上がったロロルルロロの結末ネタです。(死ネタではないです)
*ルルーシュが、ロロのことを大好きです。(ロロ←ルル)
同じ事を、繰り返した。
何度も、繰り返した。
それでも飽き足らず、その行為を憎みながらも、俺はまた、繰り返す。
どんな美辞麗句で隠そうとしても、その下には濁りきった水が揺蕩っている。
それでも、俺は、繰り返す。
弟よ。
約束する。
無垢な雪の白さの下に何があるのか、俺は、絶対に忘れはしないと。
綺麗なフリをしたエゴ
人気のないアッシュフォード学園の校庭に、雪が降り始めていた。
『兄さん…』
防水加工済みの携帯電話越しに、諦めきったようなロロの声が聞こえる。
ルルーシュは、右手に携帯電話を持って、真っ直ぐ前を見詰めていた。
校庭のある一画の端で、ロロが佇んでいる。ルルーシュが立っているのは、その正反対の、端。
暴走を始めたロロのギアスの効果範囲が、いつ拡大するかわからないのだ。
「ロロ」
『心配しないで。大丈夫…兄さんと会う前の、元いた世界に、帰るだけだから。こうして、電話でなら兄さんと話すことも出来る』
嘘だ、とルルーシュは心の中で断言した。
(あれ程、自分を感じて貰えなくなるのが、怖いと言っていただろう!)
大丈夫、と言うロロの声が却って痛々しく聞こえる。
ルルーシュは以前から、この事態を想定し、解決法を考えてはいた。
ユーフェミアの一件以来、ギアスが暴走していた筈のルルーシュ。だが、ブリタニア皇帝によって記憶が改変されていた期間、その左目に呪われた赤い光が輝くことはなかった。
ギアス能力の存在が能力者の記憶に依存しているのならば、その記憶を消してしまえば、ギアス能力も共に消える。
ただ、おそらくは物心ついた時からギアスと関わっていたであろうロロから、ギアス能力に関わる記憶を奪えば、ロロの精神に何が起こるかはわからない。
だが、やるなら、今しかない。
タイムリミットは、ルルーシュのギアスの効果範囲を、ロロの暴走したギアスの効果範囲が上回るまで。
しかも、シャーリーの時とは状況が違う。ロロはルルーシュのギアス能力の詳細を知っている。こちらにロロの記憶を奪う意図があると知られれば、いくらでも回避されてしまう。だから今まで、ロロとギアスの暴走について敢えて深くは話し合って来なかった。この状況に陥った時、ロロにルルーシュの意図を悟られない為に。
本人の了解無く、勝手に記憶をかき回す行為。それをルルーシュは心から憎んでいた筈だった。
それでも。
(ロロを一人にさせられるか!!)
チャンスは、一度。
ロロを騙せ。ロロの為に。
演技なんてお手の物だろう? と、自分に言い聞かせる。
今まで数え切れない程の人間達を騙してきた。
ならば、ロロの為の演技を、演じられないわけがない。
自分なら、出来る。
絶対に、出来る。
今は、感情などいらない。ただ、思考をクリアーに。
「…ロロっ…」
消え入りそうな声で、ロロの名を口にする。
一瞬のチャンスを捉える為に、ルルーシュの頭の中は冷静そのものだったが、涙を流すのと演技の為の気持ちを高めていく。
「ロロ、すまない…何もしてやれなくて、すまないっ…!!」
頬を、嘘の涙が伝う。
『兄さん…。泣いているの?』
ロロ、すまない、と繰り返しながら、顔を俯かせ、左手で顔を覆う。
ロロに気づかれないように指先をずらしながら、ギアスを抑えるコンタクトレンズを外す。
「ロロ…」
ルルーシュは、一瞬で顔を上げ、ロロの瞳を見据えた。
「忘れろ! ギアスに関する、全てを!!」
赤い鳥が、ルルーシュの瞳から、弾丸のように飛び立ち、ロロの瞳に飛び込んでいったのを、ルルーシュは確かに見た。
沈黙が横たわる。
終わった、全て。
ルルーシュが俯いた時、ルルーシュの携帯電話に、ロロの悲痛な声が響いた。
『…嫌だ…忘れたくない…』
ルルーシュが息を呑む。
ユフィノ時ト、同ジ。 受ケ入レガタイ命令ヘノ、抵抗。
『…忘れたくたい…だって忘れたら…僕は…』
ルルーシュは顔を上げる。
ルルーシュは苦しむロロから目を反らさなかった。
自分が招いた結果から、目を背けることは、許されない。
ロロがギアスに支配されるまでの姿を、目に焼きつける。
『兄さん…嫌だよっ…助けて…』
ロロがルルーシュに向かって、縋るように手を伸ばした。
ルルーシュも、遠く離れたロロに向かって手を伸ばす。
『にいさ…』
携帯電話が、ロロの手から滑り落ちた。
携帯電話越しに、ルルーシュの耳元に、ロロの携帯電話が地面に落ちる音が届く。
そのすぐ後、糸の切れた操り人形のように、ロロはその場に両膝から崩れ落ちてから、横に倒れた。
今度こそ、終わった。
ルルーシュは携帯電話を切り、ロロに向かって歩き出す。
雪の降り積もる音が聞こえるほどの静けさが、ルルーシュを責め立てる。その声に言い訳などする気はなかった。
自分で決めた、その結果は自分で受け止める。
責めていいのは、ロロだけだ。
ルルーシュは気絶したロロの傍らでしゃがむと、ロロの頬を濡らす涙と、髪についた雪を拭いてやる。
人生の大半をギアスと共に生きてきたロロだから、その記憶を失ったショックは大きすぎたのだろう。
目覚めた時。ロロは、何を覚えているのだろうか。
「ロロ…悪かった。騙して」
ルルーシュはロロに謝罪する。
ルルーシュは、ロロにギアスをかけるまで、ロロだけでなく自分も騙していた。
ロロにギアスをかけたのは、本当は、ロロの為ではなかった。
ロロの為に、と思い込むことで、罪悪感に襲われないように、自分を守った。
「ロロを一人にさせない為に」。その理由は、本当の理由を隠すための、よく出来た美しい外套に過ぎず。
本当は。
ただ、自分が、ロロと離れたくなかった。
ロロを憎んで、憎んで、憎み続けた果てに、憎悪と共に育ってしまった想いはあまりに大きすぎた。
『怖いことがあるとしたら、兄さんにふれても、兄さんに気づいて貰えなくなることかな』
何でもない事のようにロロがそう語るたび、恐怖を植えつけられたのはルルーシュの方。
離れたくない。
ロロが逃げられないように退路を断ち、利用し続けた自分がそれを思うことの滑稽さに、気づけぬ程愚かではない。
それでも、タイムリミットが迫ってくる中で、最初からルルーシュには選択肢が一つしかなかった。
勝手に記憶に土足で踏み入られて、捏造されることが、どれだけ、辛く、屈辱的か、自分が一番よくわかっているというのに。
それでも、離れたく、なかった。
自分の行為が、ロロの想いも、覚悟も全て踏みにじる、醜い行為であると知っていながら。
『…忘れたくない…だって忘れたら…僕は…』
『兄さん…嫌だよっ…助けて…』
目を閉じれば、ロロの苦しむ声が何度も、何度も、繰り返し響き渡る。
絶対遵守の力に抗ってみせた程の、その想いをばらばらにした自分の、なんと浅ましいことか。
ロロの為、と自分を欺いてどす黒いエゴから目を反らし、受けるべき責め苦から逃げだしたまま、ロロに苦痛を押し付けた。
「…すまない」
ルルーシュは、身長の割りに軽過ぎるロロの身体を抱き上げながら、もう一度、謝罪する。
この腕の中の存在の確かさを失いたくなかった。
それだけの為に、かつて犯した大罪を繰り返した。
他の誰でもない。自分の、為に。
「こんな風にしか、愛してやれなくて」
ロロ視点の『ゴメンナサイ』に続く
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BGM:『白い竜』 vocal:RIKKI
『I’m here』 vocal :Ito Yuna
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現在のお礼SS:ロロルルロロ一本。
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