旅の途中１４．５

　　　旅の途中（１４．５）



　愛おしい我の血縁者よ

　美しいだけの魂など、何処にもある筈がない
　美しいだけの魂など、美しい筈がない
　美しいだけの魂があるなら、そこには必ず万死に値するほど許し難い作為が存在している

　愛おしい我の血縁者よ。君に訊こう

　全てを受け入れる覚悟はあるか？

　君は理解したか？
　君は受容したか？

　彼の言葉の中にある恐ろしいまでの振幅に気づいたか？
　彼の言葉の中にある欠落に気づいたか？

　その振幅を引き起こすのが痛苦に病み過ぎた魂でも、
　その欠落の中にあるのが如何なる醜悪であっても、
　それらが君に比喩ではない死をもたらすものであっても、
　それでも、彼と向かい続ける覚悟はあるか？
　それでも、彼との未来を望むのか？

　今、君が一瞬でも答えるのを躊躇ったなら、
　君は彼の頭を一片の慈悲なく撃ち抜くべきだ

　いや、違う
　慈悲があればこそ、一度でも希望を持った魂を絶望の海の底に沈めたくないのならば、彼の頭を撃ち抜くべきなのだ


　彼を受け止めきれないならば、君の命はいつか必ず無残に散らされるだろう
　そして散った君から流れ、朽ちた命を見て、彼は今度こそ狂い咲くだろう


　さぁ。もう一度、我は問おう

　
　愛おしい我の血縁者よ


　全てを受け入れる覚悟はあるか？


　純粋すぎるがゆえに、永遠に濁である魂を



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