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 いろいろ説明事項。

 ・ロロとルルーシュが血のつながった兄弟だったらというSSです。
 ・というわけでロロは皇族です。
 ・マリアンヌの事件の後、日本に送られた頃が中心となるSSです。
 ・どシリアスです。 
 ・それでもよろしければお進みください。
 









 どうして、殺しちゃいけないの? 僕は、ただ……。



  「誓イ」ノ行方 (1)



 幼いルルーシュは憔悴しきっていた。
 母が殺され、ナナリーは脚を撃たれた。昏睡状態にあったナナリーの意識は先程戻ったが、事件の後遺症でその瞳からは光が奪われていた。突然世界が暗闇に閉ざされた恐怖で暴れたナナリーをなんとか落ち着かせた後、ルルーシュは一人で、弟であるロロの部屋に向かっていた。
 ロロは事件の現場にいたものの、負傷はしていなかった。
 事件があった後、ロロは縋るように『にい、さん。にいさんは、いたく、ない? にいさん……』とルルーシュに話しかけてきたが、重傷を負ったナナリーにばかりルルーシュは気をとられて、伸ばされたロロの手を振り払ってしまった。それ以来、部屋に閉じこもったきり部屋から出てこないロロと、ルルーシュは事件以来、一度を除いて、話をすることはなかった。
 一度だけ、ルルーシュはナナリーの手術中にロロの部屋に立ち寄った。ロロはベッドの上で脚を抱えて座っているだけで、ルルーシュが何を言っても答えてはくれなかった。その時、話しかけても何も反応を返さない弟を気遣う余裕がルルーシュにはなかった。ナナリーがどうなるのか、そして母を失った自分達がどうなるのか、心を騒がすことは山ほどあって、ほんの少しでもいいからロロに話を聞いてほしかった。

 事件の前までは「にいさん、にいさん」と自分の後ろを笑顔でついてきた弟が、たった一人で無表情で同じ場所に座り続けているという異常さにようやく気づいたのは、ついさっきだ。
 ルルーシュはロロの部屋の前にたどり着くと、軽くノックをしてから部屋へと入った。
 相変わらず、ロロはベッドの上で脚を抱えて座っていた。

「ロロ」

 声をかけるが、ロロは虚ろな瞳のまま、なんの反応も返さない。
 ルルーシュはベッドに腰掛けた。

「ロロ。…ナナリーが、失明したんだ。脚も、動かないって……」

 ロロはやはり全く反応しない。その瞳には何の感情の変化も表れていなかった。

「……ロロ……」

 そんなロロの姿を見て、ルルーシュの頭にある可能性が浮かぶ。
 ナナリーは心的なショックから、光を失った。
 ならば…。

「ロロ…僕の声…聴こえてるよ…な…?」

 ルルーシュはベッドに膝をつき、ロロの手を握って、訊いた。
 ロロから音が奪われているのかもしれない、とそう思ったのだ。
 不安の中、ロロの返事を待っていると、ロロがゆっくりと顔を上げてルルーシュの瞳を見た。

「…きこえてるよ」

 小さな声でそう言われて、ルルーシュは安堵の息を漏らした。

「…よかった…」

 ルルーシュが胸を撫で下ろしていると、

「にいさん、は?」

 ロロが唐突に訊いてきた。

「え?」
「にいさんは、どこも、いたくない?」
「ああ…僕は、どこも怪我はしてないないよ」
「…そう…よかった…」

 安心したように微笑を浮かべたロロに、ルルーシュは微笑み返した。

 (よかった。ロロは大丈夫だ)

 この時ルルーシュは、ロロの笑顔がこの先、決して短くない期間奪われたままになることを、知る由もなかった。

*   *   *

 ルルーシュ、ロロ、ナナリーの三人は、日本に向かう為、空港にいた。
 人質、厄介払い……。そういった言葉達がルルーシュの頭をぐるぐると飛び回る中、ルルーシュは無言でナナリーの車椅子を押し続ける。
 ルルーシュは後ろを振り返った。

「ロロ、早く」

 今日何度目かの言葉を口にすると、ルルーシュとナナリーのかなり後ろを歩いている弟は何も言わずにルルーシュを見るだけだった。
 何度「早く」と言っても、ロロはルルーシュ達と距離をおいてついてくる。
 自分達の味方など何処にもいない。そんな世界で、大切なロロには自分の目の届く所にいてほしい。それなのに言うことを聞いてくれない弟に、ルルーシュは苛立っていた。



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現在のお礼SS:ロロルルロロ一本。
効能:管理人のMP回復。感想一言頂けるととても喜びます。
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