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「誓イ」ノ行方 (7)
黒の騎士団の所有する、とある施設。
地下にあるゼロの私室で、ロロがルルーシュの膝に頭を預けて、ソファですやすやと眠っていた。自分達以外は入ってこられないようになっているから、ルルーシュはマスクを外していた。眠るロロの身体にはゼロのマントがかけてある。
ここのところ、ロロに無理ばかりさせていた。
何があっても自分のもとをロロは離れない。その確信と弟の愛情に自分が甘えすぎていることはわかっていた。だが、まだ磐石とはいえない黒の騎士団の体制の中で、仮面と素顔の両方を知っていながらついてきてくれている弟に、どうしても頼ってしまうのをやめられない。
黒の騎士団の活動で負担をかけ過ぎないようにと配慮しているのに、
『兄さんの役に立ちたいのに』
と悲しげな顔をされてしまうと、自分は弱い。
最近、学生生活と黒の騎士団の活動という二重生活の中、なかなか兄と弟として接する時間をとれずにいた。
そんな中、なんとか時間をとり、こうして膝枕をしてやりながら他愛のない会話をしていたら、余程疲れていのかロロは眠ってしまったのだ。
じっとロロの寝顔を見ていると、視線に反応したのか、ロロのまぶたが震えてから、ゆっくりと開かれた。
「あ…ごめん…寝て…た?」
「気にするな。…もう少し、寝ていていいから」
優しくそう言うと、ロロは首を横に振る。
「せっかく兄さんと話が出来るんだもの。…何の話、していたんだっけ?」
「昔の話だよ。…ほら、スザクの家にいた頃の」
「あの時は…酷かったね。色々と」
「そうだな。…悪かったと思ってるよ。お前の気持ちにちっとも気づいてやれなくて」
「ううん。僕も、言葉が足りなかったからいけなかったんだ。もっとちゃんと話をしていれば、…あんなに、お互い辛い思いはしなくてすんだのにね」
ルルーシュがロロの頬に触れると、ロロは嬉しそうに頬を摺り寄せながら、手を重ねた。
「俺は、あの頃ぶつかっておいて良かったと思ってるよ。…だから今、こうしていられるんだ」
「そうだね…誓った…もの…ね…」
『誓った』と言われただけで、なんの誓いか、一瞬でわかってしまう自分がいる。
『ずっと、地獄の底まで、一緒』という誓いを。
これからも、その誓いを、ロロは必ず守ろうとするのだろう。
「ほら、眠そうじゃないか。無理しないで、寝ていろ」
とろんとした瞳でルルーシュを見上げながら、途切れ途切れに喋るロロに、ルルーシュは苦笑して言った。
「うん…ゴメン…寝て…る…」
ロロはそう言うと、すぐに再び眠りに落ちてしまった。
ルルーシュもまた、ソファにの背もたれに身体を預け、目を閉じながら、もう一度誓いを思い出す。
ずっと、地獄の底まで、一緒
兄弟で交わした、誓い。
もし、ルルーシュがその誓いを破ってしまおうかと心の隅で考えているとロロが知ったら、ロロは怒るのだろうか。
きっと、「ズルイ」と言うのだろう。ロロは。
地獄への道を共に歩いた先で、もし、最後に一人だけ明るい世界に戻れるのだとしたら、自分はロロを日の当たる世界に返すのかもしれない。
そんなことを考えるのが、地獄まで付いてきて欲しいという自分の願いに頷いてくれたロロに対する、卑劣な裏切りだということは、よくわかっている。それでも、考えてしまうのだ。地獄の、最もおぞましい場所に行くのは自分一人でいいと。
否。
愛情ゆえに、ルルーシュはロロを自分と地獄へと縛りつけ、誓いを守るかもしれない。
ロロに傍にいてほしい、という自分の願いを叶え、ロロの想いに応える為に。
自分がどちらを選び取るのかは…。まだ、わからない。その時になってみなければ。
きっと、その時どちらを選び取るかは、これからの時間が決めるのだろう。
二人の今を、これまで共に過ごした時間が決めているように。
終
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こうして「最強兄弟」や、某SSにつながっていきます…というSSなのでした。
BGM 「片恋」voval by 志方あきこ
「ひぐらしのなく頃に」by 島宮えい子
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現在のお礼SS:ロロルルロロ一本。
効能:管理人のMP回復。感想一言頂けるととても喜びます。