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・元拍手お礼SSを若干修正したものです。
・配役・設定を色々アレンジしてあります。
・途中まで「?」かもしれませんが、最後まで読めば「?」はなくなると思います。
おそらくは自分こそが、この世界で最もゼロを憎んでいる人間だと、そう断言出来る。
ゼロの恋人 (1)
休日の午後。
クラブハウスのダイニングで、ルルーシュはノートパソコンを開いていた。そこに映るのは、かつて黒の騎士団を率いていた男、ゼロの画像と関連記事だ。ルルーシュの厳しい視線が文字列の上を通って行った。公式には、一年前のブラックリベリオン終結時に処刑されたことになっているゼロだが、その命が尽きていないことを、ルルーシュは知っている。
「兄さん…どうしたの、怖い顔して。何、読んでるの?」
ロロはルルーシュの為に淹れたハーブティーをテーブルに置いてから、ルルーシュの見るパソコンの画面を覗き込んできた。ルルーシュはありがとう、と言ってから答える。
「政治経済のレポートがあってさ。黒の騎士団のことも絡めて書いてみようと思ってるんだが…、どの切り口で攻めようかな、と思って」
「なんだ、悪巧みでもしてるのかと思ったよ」
「…俺がいつ、悪巧みなんてした?」
ルルーシュが悪戯っぽい光を目にたたえながら、わざとらしくそう訊くと、
「自覚がない人には何も言いません」
ロロはそう言って笑いながら、椅子に座った。
ティーカップの取っ手に手をやるロロをぼんやりと目にしていると、ルルーシュはふと自分のしなければならないことを思い出して、
「ロロ…黒の騎士団について、どう思う? 意見を参考にしたい」
ロロに尋ねた。
「どう思うって言われても…」
ロロは自分用のハーブティーを口にしながら、しばらく宙を眺めた。
「兄さんのレポートの参考になるような意見はないよ」
「…そうか」
ロロの反応に、安堵と落胆の両方が入り混じった感情が、ルルーシュの胸に滲んだ。
ルルーシュもハーブティーをひと口飲んでから、再び視線を記事に戻す。純血派の内ゲバを引き起こしたオレンジ事件からブラックリベリオンまで、ゼロについてかなり詳細に書かれた記事だ。
ロロはじぃ、とルルーシュを疑惑の目で見てから、口を開いた。
「ねぇ兄さん…」
ルルーシュはパソコンの画面を見たまま、「ん?」と言った。
「ひょっとして、その記事って本当は、一般人が見ちゃいけないやつだったりしない?」
ロロへの答えを口にする代わりに、ルルーシュはにやりと口元を歪めることでその問に答えた。
「知らないよ、マズイことになっても」
「そんなヘマはしないさ」
「…もう…」
言いながら、ロロは呆れたような顔をして頬杖をつく。
再びルルーシュが記事に集中するフリをしだすと、ロロは恨めしそうな視線をルルーシュに投げかけてきた。その姿がいじらしくて、ルルーシュはしばらくロロをそのままにしておく。ルルーシュの視線は記事の上を行ったり来たりしているように見えるが、その実、ルルーシュは視界の端に写るロロの表情にしか集中していなかった。
ロロの視線が次第に熱くなっていくのを感じながらも、ルルーシュの意地悪は続く。やがてロロが口を開きそうになったところで、
「…構って欲しいのか?」
笑みを深くしながら、ルルーシュは言った。ロロは嬉しそうに頷きながら、椅子をルルーシュのすぐ横に移動させて、ルルーシュの肩に寄りかかる。ルルーシュはパソコンの画面を片手でスクロールさせながらも、もう片方の手でロロの髪に優しく触れた。
ゆっくりと指先で髪を梳いてやると、それに反応するように、ロロはルルーシュに頭を摺り寄せる。
「…兄さん…」
甘えるようにそう口にするロロを愛おしく思いながら、ルルーシュはパソコンに映る最悪のテロリストを、憎悪を込めた瞳で見詰めていた。今自分に身を寄せる、愛くるしい「弟」…、その恋人だった、ゼロを。
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現在のお礼SS:ロロルルロロ一本。
効能:管理人のMP回復。感想一言頂けるととても喜びます。