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ゼロの恋人(2)
黒の騎士団の創始者であるゼロ。
彼は(どうやら男性であることは確実という情報が入ってきている)公式には処刑されたことになっているが、実際は生存していて行方不明だという。そのゼロをおびきだす為の餌。それが、ゼロのかつての腹心であり恋人でもあった、ロロだった。
ブラックリベリオンの最中に、ブリタニア軍によってロロは捕らえられた(と、自分は聞いている)。記憶を書き換えられ、自分が黒の騎士団にいたことを忘れ、現在は偽の兄として宛がわれたルルーシュを本物の兄だと信じ、慕っている。ルルーシュの任務は、ロロの兄として振舞いながらロロを監視し、餌に釣られてやってきたゼロを捕縛することだった。
家族というものに対する親和性のなかったルルーシュは、まるで恋人にするように甘えてくるロロの態度に最初は戸惑ったが、やがて慣れていった。
どうやらロロは基本的にはルルーシュ以外の人間に殆ど興味がないようで、ルルーシュにだけ天使の微笑を見せてくれる。二人きりになると、ルルーシュの愛情をしきりに求めてくるロロに、ルルーシュが絆されるまで大して時間はかからなかった。愛情不足に陥ると不安定になるロロの危うさもまた、ルルーシュには魅力に映った。
自分が篭絡されてどうする、と思いながらも、任務に支障がないなら自分がロロをどう思おうと、ロロとどう接しようが勝手だと判断し、兄弟という関係性をもルルーシュは踏み越えてしまった。
ロロへの愛情が日々増せば増す程に、ゼロに対する憎悪が募っていった。自分以外に、ロロの唇を、肌を知っている人間がいるという事実は、許しがたかった。
ルルーシュが掴んでいる情報によれば、ロロとゼロの関係の長さは、ロロの年齢とほぼイコールだという。ならばそこからゼロの正体に迫れるのでは、ルルーシュは考えたが、ゼロの正体は一部の人間だけが知るトップシークレットで、自分がゼロの正体に迫ろうとすれば、その道筋は必ず不自然に断絶させられていた。余程ヤバイ正体なのだろう、とルルーシュはゼロの正体を突き止めることは諦めた。(ゼロを捕縛した際も、確認は上層部が行うことになっている)
だが、ゼロの正体の、大体の予想はつく。
片時も互いの傍を離れたことのなかったという、ゼロとロロ。
ロロが現在、自分を兄として慕っていることから、おそらく二人は兄弟だったのではないかと思う。兄であるゼロへの愛情がそのままルルーシュにスライドしたと考えれば、「兄」である自分に対して、最初から恋人のように接していたことも納得できる。
それが、ルルーシュは許せなかった。
あの天使を、ゼロが十数年独り占めしていたのかと思うと虫唾が走る。しかも血縁に手をだしたとは!(先に手をだしたのがロロという可能性もあったわけが、ルルーシュにとって、悪は全てゼロにあった)
ロロ。…あれ程無垢な人間が自発的に悪事を働くとは思えない。
おそらく愛情不足になると不安定になるロロの性格をわかっているゼロが、そこを衝いてロロを無理矢理協力させたのだろう。なんて極悪非道な人間だ。
一年間、ゼロが大きな行動を起こさなかったのは、おそらくこちらがロロの存在を握っているのが大きいのだろうとルルーシュは推測している。そうでなければ、あちらが行動を起こせるようにこちらが丁寧にお膳立てしているのに、未だにゼロが行動を起こさない理由が無い。
行動を起こせるだけの勢力は残存している筈。黒の騎士団がゼロというカリスマで短期間の内に支持を得た組織であることを考えれば、ゼロが処刑されたというデマを流されたまま地下深く潜伏するのは、その期間が長くなればなるほど不利益にしかならない。
確実にロロを奪還するチャンスをゼロが窺っているならば、ロロを奪還するチャンスをこちらが作ってやれば、必ず、どれほどリスクが大きくても食いついてくるだろうというのがルルーシュの考えだ。
だからわざと、先日、来週の自分とロロの行動情報をリークした。二人でバベルタワーに行く、という情報を。すると見事にわかりやすく、その日付のバベルタワー上空における飛行申請がある団体から来た。
相手も情報のリークが罠だとはわかっている筈だ。飛行申請が不自然にあっさり通ることも織り込み済みだろう。こちらも、飛行申請を通すようにという根回しは済んでいる。
互いに、罠だと知っていながら、相手を迎え撃つ。
ゼロはロロを奪還するため。
ルルーシュはゼロを捕縛する為。
ゼロが最前線に出てくるとは限らなかったが、ルルーシュはゼロの行動を分析しながら、ゼロであれば必ずロロを奪還する為に最前線にでてくるだろうと確信していた。
(俺ならそうする)
自分がゼロならどうするか? ということが関係ないとわかってはいたが、一年間、ひたすらゼロという男を分析し、ロロと共に過ごしていた自分だからこその確信があった。
ゼロを捕縛し、二度とロロに触れることの出来ないようにしてやる、とルルーシュは意気込んでいた。
だが、それと同時に悲しみもあった。
ゼロの捕縛が完了すれば、自分がロロの兄として振舞う時間は終わりを告げる。
ルルーシュはゼロの素顔を知らないが、ゼロの素顔を知っている上層部の人間にゼロを確認させた後、ゼロは確実に処刑される。ゼロの餌としての役割が終われば、ロロもまた罪を問われるだろう。必要なら殺せという指示は上から受けているが、ゼロの捕縛を遂行した際のロロの処置についてはまだ指示を受けていない。自分には、ロロの減刑を申請出来るほど地位も権力もない。それをやれば、下手をすればルルーシュの存在そのものが消されることは目に見えていた。
かといって、ゼロというテロリストを捕まえる能力が自分にあるのに、悪戯に捕まえるまでの時間を延ばすことはルルーシュには出来なかった。
いずれにしろ、ルルーシュがどんなに愛情を注いだところで、ロロは添い遂げることが出来る相手ではない。
自分だけが知る場所に、ロロを永遠に閉じ込めてしまいたかった。誰にロロを盗られる心配もなく、自分以外の誰をもロロが目にすることも出来ないところへ。ロロとてルルーシュ以外の人間との関係に価値を見出していないのだから、それが一番いいのではないかとさえ思える。自分がロロを逃がすことなど絶対にありえないのだから、それを終身刑の代替処置にすればいい。
永遠に、ロロを、自分のだけのものに。
それが出来ないならば、せめて、ロロと離れるその瞬間まで、ロロと深く愛し合っていたかった。
そして、もし。
ロロに死の決定が下されるならば、その命を終わらせる役割は、自分以外の誰にも譲りたくはなかった。
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ルルーシュの目にはロロLOVEフィルターがかかっています(笑)
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現在のお礼SS:ロロルルロロ一本。
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