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おまけ・その1
「…じゃあ、僕はいつ、ルルーシュに会えるのかな?」
広大なオレンジ畑のド真ん中にある、アーニャとジェレミアが生活する白い家のリビングで、スザクは変装用のかつらやメガネを外しながら言った。
スザクの前ではアーニャが携帯を見つめ、ジェレミアは奥のキッチンで何やら料理をしているようだった。
スザクはなんとか時間を作ってこうしてルルーシュの誕生日を祝いに(色々と危険を犯しながら)来たのだが、アーニャに「今は駄目」とブロックされたのだ。
「……ロロが満足したら」
「それって、僕は永遠にルルーシュに会えないって事だと思うんだけどな」
変装グッズを全て外し終えて、普通のスザクの姿に戻ると、スザクもまた、アーニャの向かいのソファに座った。
「大丈夫。ロロは、もう、わかってるから。……納得はしてないけれど」
アーニャは携帯の画面から顔を上げて、厳粛に言った。
「……どういうことだい? アーニャ」
スザクは訊いた。アーニャの言葉の解読は得意な方だと自負しているけれど、さすがに「大丈夫。ロロは、もう、わかってるから。……納得はしてないけれど」だけでは補足してもらわないと、アーニャ言わんとしていることが理解できない。
「ルルーシュも、ロロも、色々な人といることが必要だってこと。……ロロも、わかってる」
「少しづつ変わっているのだよ。陛下……いや、ルルーシュ様も。ロロも」
アーニャが話し終えると、ジェレミアが手を拭きながらキッチンから出てきた。
「……そうか」
フレイアの一件の後に、ロロと会った。機情がゼロによって掌握されていたのだから、ロロがルルーシュ側ついていたであろうことは知っていたが、自分の意志でルルーシュ側についているとは知らず、唖然としたのを覚えている。今になって思えば、自分がアッシュフォードに復学した時のロロの反応は、いつもポーカーフェイスを崩さなかった少年にしては珍しいそれだった。
いや、そんなことよりも印象に残ったことがある。血は繋がっていないのに、ロロはルルーシュによく似ていると、いや、似てしまっていると思ったことがある。ルルーシュを愛するがあまり、ロロ以外の他の誰をもルルーシュに近づけさせたくないと、周囲に刺すような視線を向けるロロに、かつて、ナナリーに近づく者は全て敵だと、警戒心をむき出しにしていたルルーシュに近いものを感じたのだ。
庇護欲と独占欲の境界線が何処にあるのか、自分にもよくわからないけれど、行き過ぎたそれらが愛する相手をも破滅させかねないということを、スザクは本能的に理解していた。そして、互い以外の他者など必要ないと、互いさえいればそれでいいという感情もまた、悲しみを生み出すということも。
それで自分達が散々傷つけあってしまったからこそ、自分の周りの誰にも、同じ悲しみを味わってほしくなかった。
たとえそれが、憎み続けた相手であっても。
「じゃあ、待たせてもらうよ」
あの二人がそうやっていい方向へと変わっているというのなら、それを喜んでやりたい。残念ながら、いつも二人の幸せを素直に祈ってやることは出来ない(過去をなかったことには出来ない)から、せめて今だけは。
「オレンジジュース、飲む? いっぱいある」
「……ああ、ありがとう」
「じゃあ、取ってきて」
「え。……自分で取ってきて絞って来いってことかい?」
「絞らなくていい。ミキサーがあるから」
「………」
ルルーシュ。その祝福を、誕生日プレゼントに……ってことで、いいかな?
これからも二人が、変わっていけるように。
おまけ・その2
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現在のお礼SS:ロロルルロロ一本。
効能:管理人のMP回復。感想一言頂けるととても喜びます。