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   ゼロの恋人(3)



 バベルタワーでどう動くか。
 ブリタニアの機密情報局によってリークされた情報を元に、黒の騎士団団員による打ち合わせが終わった後、カレンとC.C.だけがその部屋に残っていた。二人の間にあるテーブルには、先程持ってこられたばかりのピザが置かれている。

 「ゼロを奪還するのにゼロと戦わなきゃいけないなんて…」

 カレンはため息をついた。

 「傑作だな。一つ間違えれば、黒の騎士団がゼロに壊滅させられるぞ」

 ははは、と笑ってピザを口にするC.C.にカレンはむっ、とした顔をする。

 「面白くもなんともないって!」
 「敵にすれば面白い事この上ないだろうさ。捕らえたゼロ…ルルーシュの記憶を書き換えて機密情報局に配置。ロロを監視させる。
  機密情報局の人間は、あいつ以外は、全員ルルーシュがゼロだと知っている。機密情報局の真の目的が私の拘束だと知らないのはあいつだけ。
  ロロを監視しながら、ルルーシュも二十四時間体制で見張られている。だが奴の秀でた情報処理能力は役に立つから使われている。 …味方にいれば頼もしいからな、あいつは。これで、ゼロとロロを両方監視出来る上に、ゼロの能力を搾り取れる。
  黒の騎士団は創始者と戦わなければいけない。…相手の笑い声が聞こえるようだ」 
 「…絶対に、ゼロとロロを取り戻さないとね」

 カレンは真剣な眼差しでバベルタワーの見取り図を見ながら、言った。

 「だが、もし万が一…。どちらか一人しか取り戻せない場合は」
 「わかってる。ロロを諦めてでも、何がなんでもルルーシュを取り返さないと、こちらの勝機が一気になくなる。…私とあんたで偽ゼロをやる必要もでてくる」

 ゼロが姿を現さなくなってから、一年。公式には処刑されたと発表されたとはいえ、今だにゼロの生存を信じ、ゼロの再臨を望む日本人は多い。だが、このままゼロの失踪が長期化すれば、その希望も消えていく。

「だがそれも長くは持たない。外向きには何とか出来ても、早くあいつが戻らなければ黒の騎士団内部から崩壊するぞ」

 カレンやC.C.の指揮能力は決して低くない。だが、ゼロというカリスマが圧倒的過ぎた。黒の騎士団とゼロの存在は一体であって、ゼロの代わりを務められる者はいない。

 「…でも、ルルーシュだけ取り返したら…」
 「ああ、『何故ロロを取り返さなかった!』…と一時間は詰め寄られるな」
 「…やめよう。もう失敗した時のプランは考えてあるんだし。…これ以上こんなこと話してたら、成功するものも成功しなくなる」
 「…そうだな」

 頷きながらも、C.C.はピザの最後のひとかけらを食べた。

 「って、えええええ!! いつ全部食べちゃったの! ちょっと前まで…。ちゃんと丸かったのに」
 「不吉だ…。これは所謂、何かの小説で、突然靴紐が切れるのと同じことだな」
 「不吉なのはあんたの頭でしょう!? 偶発的な事故とあんたの食欲を一緒にするな!! 私、何も食べてなかったのに。あ~あ…」

 カレンは本日何度目かのため息をついた。

 「ねぇC.C.。さっき、一時間は詰め寄られるって言ったわよね」
 「あ? ああそうだな…」

 ピザの話題から急に方向転換されて、C.C.は面食らいながら答えた。

 「お小言とか説教ぐらいなら何時間でも聞いてやるわよ…ゼロがちゃんと戻ってきてくれるなら」 



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