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ゼロの恋人(4)
放課後の生徒会室。
ロロはこの一年間で撮った画像をパソコンで見ていた。映っているのはルルーシュばかりで、どのルルーシュも優しげな笑みを浮かべている。ロロの肩に手を回しながら笑っているものもあった。
(兄さんはこの時も…僕を偽の弟だと思ってたんだ…)
愛しい兄の写真の数々を前にして、ロロは目を伏せた。
一年間の記憶を、頭の中で再生して、眺める。
あのキスも、あの熱も。全てルルーシュにとっては偽物だったのかと思うと、涙が出てきそうだった。
ルルーシュにとってロロは今だに監視対象で、ことによってはロロを殺すことも厭わないだろう。
昔、兄に殺されるのなら本望だと考えていたこともあったが、今のルルーシュに殺されるのはなんとしてでも回避したかった。地獄の底まで共に堕ちると誓ったのだ。本当の兄に再会するまで死ぬわけにはいかない。この魂の一片までも、本当の兄以外の誰にも渡しはしない。
「ロロ。何見てるんだ? …ああ、これ、先月のパーティーのやつだな?」
突然耳元で聞こえたルルーシュの声を聞いた瞬間、ロロの背筋に冷たいものが走った。画面を覗き込んでくるルルーシュの真横で、ロロは必死に平静を装う。ルルーシュはおそらく今、ロロの一挙一動を観察しているのだ。
バベルタワーでの空白時間の長さを考えれば、そろそろ何か言ってくる筈。
ルルーシュ相手に命を賭けた駆け引きをする日が来るとは予想もしていなかったが、今はなんとか切り抜けるしかない。
「ああ、そうだ、ロロ。ちょっと訊きたいことがあるんだが」
「なぁに?」
来たか。と思いながらもロロは無垢な微笑を浮かべて、ルルーシュの目を見た。
ルルーシュもまた微笑みを浮かべていたが、瞳の奥にある冷たい光を消すことには失敗していた。
…否、違う。おそらくそれすらも、ルルーシュの作戦なのだろう。記憶を取り戻したロロでなければわからないような無言の圧力をかけ、ロロをゆさぶる為の。
負けるな、とロロは自分を叱咤しながら、ルルーシュの瞳をしっかりと捉える。
「ロロ…お前はどうやって包囲網を破った?」
ルルーシュは低い声で訊いてきた。ロロは表情を変えない。
「何言ってるの? それを言うなら、どうやって避難したか、でしょう?」
ロロは続けてバベルタワーでの避難経路を口にして、微笑を自分の顔に貼り付け続けた。
黒の騎士団は尽力したのものの、バベルタワーで奪還に成功したのはロロだけで、ルルーシュを取り戻すことは出来なかった。犠牲を出しておいて二人とも奪還出来ないよりはマシではあったが、ゼロであるルルーシュの奪還が主目的だったこともあって、騎士団員は落胆の色を隠さなかった。
しかもその敗因がルルーシュの策に負けたからだとあっては、ゼロの正体を知る人間にしてみれば、士気はどうしたって下がる。
自分の記憶だけが戻り、ルルーシュの記憶が戻っていないという、この絶望的な状況。
なんとかC.C.とルルーシュを会わせなければ、このままルルーシュは敵で有り続けてしまう。しかも本人の能力を考えるなら、ルルーシュは最悪の敵と言っても過言ではない。
バベルタワーでの作戦が失敗に終わった今、ルルーシュと機情によって作られた、恐ろしく強固な監視体制が、本当のルルーシュへと辿り着く道筋を塞いでいた。
目の前にいるというのに、愛しい兄はどこまでも遠い所にいる。その道を塞ぐのは、他でもないルルーシュ自身。
「…ねぇ兄さん。キス、しよう?」
ロロが唐突に言うと、ルルーシュは苦笑した。
「どうしたんだ急に。…人がいつ来るかわからないぞ、ここは」
偽りの記憶を植えつけられたルルーシュの表情の裏に、何が隠れているのかは、わからない。他人とキスするなんて、と、仕事だから必死に我慢しているのかもしれない。
「いいじゃない。…その時は、見せ付けようよ」
「悪い弟だ」
互いに相手を引き寄せてから、キスをする。
記憶を奪われている間も、何度も交わしたこの瞬間にある愛しさだけは、変わらなかった。
(兄さん…会いたいよ…)
会イタイ 会イタイ 会イタイ 会イタイ 会イタイ
物心ついた時から、兄と長い間離れた経験は殆どなかった。
いつだって自分の傍には兄がいて、支えてくれていた。ロロが落ち込めばすぐに気付いて、どうすればロロがまた笑顔を取り戻せるのか、考えてくれた。
その兄は今、地上の何処にもいない。
寂しくて、会いたくてたまらない、といくら願ったところで、自分の手で取り戻そうとしなければ、兄は二度と帰ってこない。
伸ばした手も、自分の言葉も、このままでは永遠にルルーシュに届かない。
口付けが深くなっていく中、ロロはルルーシュの背に手をまわして、きつく抱きしめた。それは、遙か遠くにいるルルーシュへの誓いだった。
必ず、貴方を、取り戻す。
どんな汚い手を使っても。例え、兄さんと戦うことになっても。
もう一度、貴方に会う為に。
そしてもう一度約束しよう。
今度こそ、
地獄の底まで、一緒だって。
終わり。
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